きょうの社説 2009年8月24日

◎金沢城のイベント 全国区スケールの舞台装置
 スケールの大きなイベントほど、会場となる歴史的な景観を引き立たせ、その場を深い 感動に包み込む。歴史舞台とイベントが共鳴し合い、劇的な相乗効果を生み出すことをあらためて感じさせたのが金沢城公園で今月中旬に行われた「金沢城オペラ祭」のファイナルコンサートである。

 日本を代表するアーティストが集った「The地球LIVE」には県内外から約5千人 の音楽ファンが詰めかけ、開催3年目で全国区のイベントにすっかり定着したことを印象づけた。9月には歌舞伎界のスーパースター、中村勘三郎さんを迎えての「金沢城歌舞伎」があり、日本が誇る伝統芸は歴史舞台にさらに映えるだろう。

 この地域の歴史のシンボルである金沢城公園で全国区のスケールをもつ舞台が続くこと は「歴史都市」や「創造都市」の看板を掲げる金沢にとって、まさに「歴史」と「創造」の融合をアピールすることを意味し、都市のイメージを内外に発信する絶好の機会となる。文化創造の中心舞台にふさわしく、城の魅力を高める復元整備も着実に進めていきたい。

 「The地球LIVE」は朝から整理券を求める千人以上の行列ができるほどの熱気で 、日が沈み、暗闇から光に照らされて浮かび上がる城郭建築物や石垣群は、出演者と観客を幻想的な世界に誘い、会場は深い一体感に包まれた。このライブは「地球とそこに生きる人間を愛(いと)おしむ心を発信する」というのがテーマで、歴史の舞台はそうした普遍的なメッセージを発信するにふさわしい場と言えるだろう。

 金沢城公園ではファッションイベント「かなざわごのみ」も10月に開催されるなど、 都市文化を発信する「野外文化施設」としての役割がますます高まっている。観光にとどまらず、歴史資産を使いこなすことは、その価値に磨きをかけることでもある。

 金沢では春の「ラ・フォル・ジュルネ『熱狂の日』音楽祭」のほか、9月には「金沢J AZZ STREET2009」も始まり、市街地を音楽一色に染めるイベントが増えてきた。そうした「音楽都市」「劇場都市」の主要舞台として金沢城公園を最大限に活用したい。

◎GDPプラス成長 追加対策なければ息切れ
 経済動向を示す各種指数がこのところ上昇基調に転じてきた。景気の底入れから本格回 復を期待する声が早くも出始めているが、4−6月期の国内総生産(GDP)が5四半期ぶりにプラスに転じたのは、政府の経済対策と輸出の下げ止まりによるもので、自律回復にはほど遠い。このところの天候不順で個人消費に急ブレーキがかかり、エコカー助成やエコポイント制のかさ上げ効果を打ち消す懸念も出てきた。景気刺激の追加的な対策がなければ、プラス成長は長続きしないのではないか。

 衆院選で、自民党はGDPをプラス転換に導いた実績を強調し、マニフェストに、10 年度後半の年率2%成長実現を明記した。景気回復最優先を訴え、追加経済対策についても「不十分なら必要に応じてやる」(細田博之幹事長)と積極的な構えである。

 これに対し、民主党は「国民の家計を潤すような形の直接的な手当に変えていく」(鳩 山由紀夫代表)と述べ、子ども手当や高速道路無料化、ガソリン税の暫定税率廃止などで、家計支援の政策を取るとしている。企業活動を下支えする政策を通じて景気回復を目指す自民党と、家計所得を直接増やして内需拡大を図ろうとする民主党の違いが鮮明になっている。

 内需拡大を訴える民主党の主張には傾聴すべき点も多くあるが、家計所得を増やす支援 策が消費拡大につながるかどうかは不透明だ。支給される現金の多くは貯蓄に回るとの指摘もあり、GDPのプラス成長を維持していくには、いささか心もとない。

 内需主導型経済の実現という方向性は間違っていないにせよ、民主党の政策は、どちら かというとじわじわと効いてくる「平時」の対策であって、即効性が求められる「有事」の景気刺激策を組み合わせる必要があるのではないか。

 今回のプラス成長の要因となった麻生政権の経済対策についても、良い政策は評価し、 継承・発展させていく懐の深さを求めたい。エコカー助成やエコポイント制など、個人消費を刺激する政策は、その有力候補だろう。