新聞コラム「代弁者」
News & Letters/139
高知新聞平成21年8月27日付のコラム(土佐あちこち)欄に「代弁者?」という記事が出た。
議会への請願書(ホテル購入反対)に紹介議員として署名した議員が、議場での採決の際に賛成側に転じたことをなじって、「町民に対してあまりに無責任」という酷評であった。記事はこう書いてある。
住民が議会に提出した「購入反対」の請願書。その紹介議員になった1人が採決で「賛成」側に転じたことだ。
事情を知らない人がこの記事を見たら、本当だと思うであろう。何の採決書いていないから、文章の流れから請願書の採決と受け取られるであろう。
しかし、真実はこんなものではない。その記者も毎回議会に傍聴にきているからその真実はよく知っている。なぜ、こんなでたらめな記事を書いたのか、それに興味がある。
その記事の虚偽性の第一は、その請願書は今回の議会では審議されなかったということだ。だから、その議員も他の議員も、請願書に賛成も反対もしていない。
地方自治や地方議会に関する解説書には、請願書は、受理されたら、当然次の議会で審議されることになっている。関連する議案が出されているのに、その議会より以前の閉会中に提出され受理された請願書が審議からはずされた、ということこそ、報道記者として着目すべきではないのか。
町長は「再議」にかける理由としてその事も挙示した。記者もその再議書を見ているから、憲法で国民に保証された請願書が審議されずに放置されたということの重大さについて報道すべきであろう。
請願書は、ホテル購入の賛否両側から出されていた。賛成の請願が圧倒的に多数であった。請願書が無視されたまま議決がなされたことは議会として重大な瑕疵である。
請願書をチャラにするという議員たちの合意を元に本議会は開かれた。それは適法な行為であるとは思われないが、もしそれが合法的だと言うことであれば(請願書を審議しないことについて違法だと結論づけるには訴訟など多大な時間と労力がいるであろう)請願書はチャラにされた以上は、議員たちは請願書に何ら拘束されていない。
コラム記事はこれらの事情を強いて没却した。
コラムの文面から見れば、当該議員は紹介した請願書の採決において背信行為をなした、というように受け取られる。それは理由なく名誉を傷つけることであろう。
(正式には、東洋町議会は、賛否両方の請願書は議会運営委員会の審査に付託するということになった。しかし、議会運営委員会は常任委員会ではないから請願書を審査する権限は何もない。また、当該案件の議決後に審査しても何の意味もない。議会は、実質的に両方の請願書を受理しなかったという措置をとったも同然である。)
第二に、コラム欄の虚偽性は、
議会で執行部や賛成請願者のホテル購入の理由は、ホテル経営が町の「観光振興」になるとか、経営の「メリットとコスト、リスク」などでは全くないのであった。このホテルはもともと町の「青少年旅行村」があったところであり、今もあることになっている。
町には、その「旅行村」の管理条例も特別会計も存在しているが、十数年前にその実体が不法に売り飛ばされたものなのである。だから、直ちに回復措置を講じなければならないものであって、経営をどうするかはそれからのことだ、ということなのであった。これを町長は議会でも住民説明会でもまた、町長の発行する機関誌「清風」でも繰り返し説明してきた。コラム記者は、この行政財産不法売り飛ばしの事実を何とも感じないのか、この事実をどうして隠蔽しようとするのか、それでも新聞記者なのか、
虚偽報道を平気でする新聞記者の存在に町民共々ただ驚いている次第だ。
第三に、
没却された二つの請願書のうち、ホテル購入反対の請願書の趣旨は、町民多数がホテル購入に反対しているから、議会は反対すべきだというものだあった。その請願書には435名の者が賛成だという署名簿がついていた。
しかし、ホテルを購入し町有財産を回復すべきだという賛成の請願書は1000人を優に越える署名者があった。明らかに反対請願書の趣旨(住民多数が反対だ)という事実は無くなっているのである。
この件について報道するのであればこの署名者の人数も報道すべきであろう。
したがって、たとえ請願書やそれに関連した議案に対しては、紹介議員であっても請願の趣旨が消滅した以上は請願書に賛同する道義的責任はあり得ない。反対請願は、当然取り下げられるべきであった。戦争を推進せよという請願書がありそれの紹介議員になったとしても、戦争が存続しないか、元々不正義の戦争であることが判明した場合には、議員は、その請願書の採択には賛成すべきではない。議員は国民の支持、不支持にかかわらず、何よりも自己の良心に従って行動しなければならない。国民の圧倒的多数が戦争に賛成であっても、良心に従って戦争遂行の多数国民の「代弁者」になってはならない。
新聞も議会も同じ事だ。
町民の多数の者が、「旅行村」の不法行為の経緯を知ってビックリしている。ホワイトビーチホテルの白い大きな建物という私権=利権が町の行政財産の上に建っている。国や県は今でも「旅行村」は存続していると思っているであろう。町の条例でも職員や町民の意識でも「旅行村」は存在していることになっているのである。(「旅行村」と呼んでいるが呼ばれている建物は全く別種の補助金で建てられたもので「東洋町自然休養村」である。)
今でもホテルの敷地には、「旅行村」の浄化槽や油のタンク、水道管などが埋設されたままである。
行政財産上のこの利権設定の驚くべき不法行為について、多くの町民が怒っている。
「代弁者」というのであれば、この多数の町民の声は誰が代弁すべきなのだ。新聞記者魂は何にも動かないのであろうか。情けないではないか高知新聞。
一介の地方議員が、一度した紹介者の署名の事実を越えて、法令の道義と町民多数の声にしたがった行為こそ、賞賛されるべき事ではないのか。
高知新聞は例の議員リコール事件でも虚偽の報道を続けていた。
地方自治法令には、農業委員などの公務員は請求代表者にはなれないと書いてある、などというでたらめな記事である。
私どもが、そんなことを法令のどこに書いてあるのだ、と質問したら、私らは専門家ではないから分からない、と答えていた。分からないことを書くべきであろうか。いかにに地方新聞といえでも文筆で飯を食う者がそんなことを言うべきであろうか。
何の訂正も謝罪もないが、きたる10月の最高裁大法廷では、その誤りがいやというほど分かるようになるであろう。
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