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【社会】

ペシャワール会・伊藤さん撮影 アフガン日常、写真集に 殺害1年

2009年8月23日 朝刊

 アフガニスタンで非政府組織(NGO)「ペシャワール会」スタッフの伊藤和也さん=当時(31)=が拉致、殺害された事件から二十六日で一年となるのに合わせ、伊藤さんが現地で撮影したカットを集めた写真集が近く出版される。編集者は「戦乱のアフガンではなく、日常生活という本当の姿からアフガンについて考えてほしい」と話している。二十三日には、伊藤さんの地元の静岡県掛川市で一周忌法要が営まれる。

 写真集「ダラエヌールの子供たち」(石風社)には、伊藤さんが村の試験農場で四年間、地元住民らとともに作物を育てる傍ら撮りためた写真のうち九十五点が掲載される。

 企画・編集した同会の福元満治事務局長(61)によると、当初デジタルカメラで作物の成長を記録していた伊藤さんは、いつの間にか一眼レフを手に、子供たちを撮るようになったという。

 農場でともに働いた元スタッフ進藤陽一郎さん(31)は、休み時間になるといつも子供たちに囲まれていた伊藤さんの姿を思い出す。「餓鬼大将タイプで、カメラは現地の人、特に子供たちと接するための道具の一つだった」

 巻末には、伊藤さんの家族から寄せられた「平和な将来を願った日本人ワーカーたちがいたことを忘れないでください」との現地の子供たちへのメッセージも記載されている。

 <伊藤和也さん殺害事件> 昨年8月26日朝、アフガニスタン東部ジャララバード近郊で農業支援に取り組んでいたペシャワール会スタッフ伊藤和也さんがアフガン人運転手と共に拉致された後、銃で撃たれ27日に遺体で発見された。実行役4人のうち1人が拘束され、今年5月に同国最高裁で懲役20年の判決を受けた。

 

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