台風9号による豪雨被害に対し、兵庫県独自の「住宅再建共済制度」(フェニックス共済)が初適用される見通しだ。加入者の家屋が、自治体の被害認定で半壊以上と認定されれば、最高600万円が支給される。阪神大震災(95年)の教訓から生まれた「共助」の仕組みが、創設から5年目で自然災害の被災者の生活再建に役立つことになる。
兵庫県内居住者を対象に、地震や津波など自然災害で加入者の自宅が被害を受け、再建や補修などする場合、現金を給付する制度。申請には自治体の罹災(りさい)証明書が必要で、負担金は年5000円。震災を契機に被災者生活再建支援法が成立したが、全壊住宅でも最高300万円しか支給されないため、住宅再建には不十分との声が根強く、05年9月に県が創設した。これまで適用例はなかった。
加入率は6月現在、県全体で7.3%だが、今回の被害が大きかった佐用町(世帯数約7100)は17.5%、宍粟市(同1万4000)は16.8%、朝来市(同1万2000)は11.7%。家屋被害は12日現在、全壊5棟、半壊3棟にとどまるが、今後、増える可能性がある。【川口裕之、近藤諭】
毎日新聞 2009年8月15日 2時30分