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新型インフル 妊婦の対応に苦慮、医師不足に設備も限界

2009年8月23日11時24分

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 新型インフルエンザで重症化しやすい妊婦への対応に、産科病院が苦慮している。院内感染を防ぐため、症状のある妊婦は産科の受診を控えるよう呼びかけているが、感染の有無を早期に判断しにくく、患者の振り分けには困難が伴う。深刻な医師不足に加えて、重症者を処置できる設備にも限界があり、打開策が見いだせない状況だ。

 ハイリスクの妊婦に対応する「総合周産期母子医療センター」に指定されている大阪府立母子保健総合医療センター(和泉市)には、母体専用の集中治療室(ICU)や感染症対応の病室がない。光田信明・産科部長は「分娩(ぶんべん)以外の母体の異常には対応できていない。インフルエンザに感染して重症化した妊婦は、母体救急ができる病院に搬送するしかない」。

 同センターには新生児集中治療室(NICU)があり、免疫力が弱い新生児も入院している。糖尿病など合併症を抱えた妊婦の通院・入院も少なくない。それだけに、院内感染の防止は重要課題だ。

 これまで、インフルエンザが疑われる症状がある外来の妊婦について、地域の内科医への受診や、患者と付き添いの家族のマスク着用を求めてきた。来院した場合は産婦人科外来とは別の場所で簡易検査をし、陽性なら抗インフルエンザ薬を渡して帰宅してもらうが、検査で陰性と判定されてしまう感染者も少なくない。光田部長は「完全に隔離するのは難しい」とみる。

 同じ総合周産期母子医療センターの高槻病院(大阪府高槻市)は駐車場に、症状のある外来患者を簡易診断で振り分けるためのプレハブ施設を建てることを決めた。地域の2次救急指定病院でもあり、インフルエンザに感染した一般患者が受診する可能性が高い。5月の流行時にはテントを設置して対応したが、真夏の感染拡大で、空調設備がある診察室が必要と判断した。

 開業医も対応に戸惑う。「亀田マタニティ・レディースクリニック」(神戸市灘区)の亀田隆院長は「感染が疑われる全妊婦を総合病院に移せば、そっちがパンクする」。時間外の診療や空き病室での簡易診断など、一定の負担は覚悟しているという。

 岡山県は5月以降、重症化した妊婦を受け入れる病院を募り、3カ所を確保した。担当者は「感染拡大を受けて増やしたいが、周産期センターでも感染者と非感染者を分ける設備が整っていない、と断るところがある」と明かす。(阿久沢悦子、高島靖賢)

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