韓国の「奇跡の歴史」を振り返る(上)
【新刊】イ・インホ、キム・ヨンホ、カン・ギュヒョン編『大韓民国建国の再認識』(深い青) 888ページ、3万9000ウォン(約3025円)
一つの国民国家は、共同体の形成に対する構成員の熱望に応ずる指導者らが、内部でよく話し合い、外部ときちんと競争することで創出される。大韓民国の場合、3・1独立運動以降に旗揚げした臨時政府が、日帝の統治下独立を熱望する人々の心の中において常に民族運動の種であり、また希望としてあり続けた。そして第2次世界大戦が終わった直後、3年間の「解放政局」において韓国の指導者は熱情と意志の力をもって外部勢力と交渉し、民主的な統一国家である大韓民国の建国を試みた。
ところが、1948年の大韓民国政府樹立は、そんな期待を十分にかなえるものではなかった。内部の団結の失敗で、全国民が望んでいた統合的「建国革命」はできなかった。大韓民国の旗揚げは、当時の韓国民族主義の「次善」として選択され容認された。しかし、こうして出発した大韓民国がその後歩んできた道は、自由民主主義の導入や経済発展など、いくつもの業績が相次いで成就した「奇跡の歴史」だった。
『大韓民国建国の再認識』は、こうした幾つもの奇跡の政治的基盤だった大韓民国発足前後を、偏見も歪曲(わいきょく)もなしに観察した。
合計888ページに達する本書は、合わせて5部で構成される。第1部「大韓民国誕生の国際政治的背景」では、建国に至る過程で展開された各大国間の国際政治、米国と建国勢力間の交流、ソ連の韓半島(朝鮮半島)戦略などを概観した。特に、最近公開されたソ連の外交文書を分析し、既存の「南側の単独政権責任論」を全面的に否定した。第2部「大韓民国の建国をめぐる様々な構想と認識」では、解放政局の場で活動した各政治勢力の構想と意図を分析し、当時の韓国人の生き方を規定した主要な価値を点検した。第3部「民主共和国の誕生:李承晩(イ・スンマン)の建国路線」では、大韓民国旗揚げの主役となった李承晩初代大統領の構想と業績に改めて光を当て、李元大統領の「単選単政論」の背景を深く分析した。第4部「民族共和国建国のための基礎作業とその評価」では、制憲憲法の成立過程とその意味、憲法が規定した近代的意味の「国民」概念、米国と米軍政の役割、大韓民国国軍の誕生過程、大韓民国に対する国家論的理解などを取り扱った。第5部「大韓民国建国の意義」では、他のアジア諸国の建国事例を分析し、大韓民国建国に対する日本の反応、米国の韓国防衛戦略の変遷過程などを概観した。
- 1948年8月15日、中央庁広場で開かれた大韓民国政府樹立祝賀記念式。李承晩初代大統領は、自由と民主に満ちあふれる新たな国の建設を誓った。
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