2009年8月18日14時36分
【モスクワ=副島英樹】フィンランドからアルジェリアに向かっていたマルタ船籍の貨物船アークティック・シーが大西洋上で7月下旬に消息を絶つ事件があり、関係各国が捜索に乗り出していたが、17日未明、約3週間ぶりにアフリカ西部の島国カボベルデ近海でロシア海軍の艦船に発見された。海賊に乗っ取られたとの情報が飛び交ったが失跡の真相は不明で、謎を呼んでいる。
イタル・タス通信によると、乗組員のロシア人15人は全員無事。セルジュコフ国防相は、15人から事情聴取を進めていると説明した。
ロシアでの報道によると、貨物船は7月22日に木材を積んで出港、8月4日にアルジェリアに到着する予定だった。7月24日にスウェーデン沖で武装覆面グループが「麻薬捜査」と称して乗り込み、12時間後に去ったとの情報があるが確認されていない。同28日以降、ポルトガル沖で通信が途絶えていた。
今月15日、フィンランド捜査当局者が船会社に身代金要求があったと述べ、身代金は150万ドル(約1億4千万円)にのぼるとの報道もあった。しかし情報は二転三転。マルタ当局が乗組員の安全に配慮して情報は公にできないとし、一層謎が深まった。貨物船が不法な荷物を運んでいたため西側情報機関に取り押さえられたとの説もあるが、これも真偽不明だ。