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積み荷に極秘物資? 露確保の失踪貨物船

8月22日21時59分配信 産経新聞

 【モスクワ=遠藤良介】欧州海域で7月下旬に消息を絶ち、このほどアフリカ北西部カボベルデ近海でロシア海軍に確保された一隻の貨物船が「謎」を呼んでいる。ロシアのセルジュコフ国防相は「海賊に遭った」としているが、ロシアが特殊作戦に乗り出してまで船の発見を急いだ理由は何なのか。同船がイラン向け兵器などの“極秘物資”を積んでいたとの憶測が出ている。

 問題の船は、マルタ船籍の露木材貨物船「アークティック・シー(北極海)」(3988トン)。7月23日に木材を積んでフィンランドを出航し、アルジェリアに向かった。しかし、24日にスウェーデン沖から「武装集団に襲われた」と報告してきた後、交信が途絶えた。

 ロシアのメドベージェフ大統領は今月12日、「北極海」の発見、確保に全力を挙げるよう軍に厳命を下した。露海軍が多数の艦船などを派遣して捜索した結果、17日(現地時間16日)に貨物船を発見。ロシア人乗組員15人の無事を確認するとともにロシア人、エストニア人、ラトビア人の容疑者8人を拘束した。露高官はこの作戦に伴い、報道操作が行われたことも確認している。

 ただ、この貨物船が積載していた木材は180万ドル(約1億7千万円)相当にすぎないとされる。「海賊」が狙うにも、ロシアが国を挙げて奪還に動くにも、不自然さが残る。そもそも、欧州海域は警備が厳しく、長らく海賊被害は報告されていない。

 エストニア軍元高官は露大衆紙モスコフスキー・コムソモーレツに対し、「ロシアのかくも奇妙な行動は、貨物船に巡航ミサイルが積まれていたことでしか説明がつかない」と述べた。著名海事専門家のボイチェンコ氏も17日の記者会見で海賊説に疑問を呈し、「商売上の抗争」や「(国家的な)特殊作戦」の可能性があると指摘していた。

 ロシア内外のメディアでは、貨物船がイランやシリア向けの兵器や核物質を積んでいたとする説や、麻薬密輸に絡んでいたとする見方が報じられている。

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最終更新:8月22日21時59分

産経新聞

 

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