2009年8月22日3時2分
ミャンマー(ビルマ)で03年に民主化指導者アウン・サン・スー・チーさんが襲撃された事件にかかわったとされる軍事政権の翼賛組織「連邦団結発展協会(USDA)」のトップが、外務省の招待で来日したことが21日、わかった。同協会幹部は米国や欧州連合(EU)の制裁対象。日本政府の対応は民主化支援グループなどから批判を呼びそうだ。
来日しているのは、同協会の総書記で軍政の農業灌漑(かんがい)相を兼任するテイウー氏と農業灌漑省のティントゥウー農業計画局長ら。外務省によると、20日から26日までの日程で経費は日本側が持つ。20日はミャンマーでも有名な鎌倉大仏を訪問。滞在中、農林水産省幹部や同国と交流がある国会議員らとの会談、農業関連施設の視察が予定されているという。
外務省南東アジア1課の小野啓一課長は「農業灌漑相として招待した。日本の農業を視察してもらうことは重要だ」と説明している。ただ、テイウー氏ら同協会幹部は米国やEUでは入国ビザ発給禁止、資産凍結の対象。ミャンマー情勢や日本の対ミャンマー政策を分析する「ビルマ情報ネットワーク」の秋元由紀氏は「スー・チーさんに有罪判決が出た直後に招待する日本政府の意図は理解に苦しむ」と話している。
同協会は03年5月、遊説中のスー・チーさん襲撃事件にかかわったとされる。テイウー氏は同年8月、総書記に就任。07年9月の反政府デモの際も、協会のメンバーがデモに参加した市民に暴行し、当局の逮捕に協力したとされている。来年に予定されている総選挙に向け、協会を母体に親軍政政党ができるとみられている。(五十嵐誠)