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きょうのコラム「時鐘」 2009年8月22日
バリアフリーの難しさを考えさせる意見が投書欄にあった。「兼六園の砂利道通りやすくして」と。園内に敷かれた砂利は車いすを押すにも困難、お年寄りには歩くのもつらい
以前、同じ声が京都御所でもあった。砂利敷の御苑は車いすでは通りにくい。通行帯だけでも固めることはできないかとの意見だった。同様に、各地の有名寺院や名所にも長くて急な階段がある。城跡などは「バリア(障害物)」の固まりである 敵の侵入を防ぎ、あるいは、崇高さを表す山上に築かれた歴史的建物群である。それを簡単に見られるようにしようというのが現在の観光の一面であり、名所旧跡は元々、大衆を拒絶する所が多かった 最近は歴史景観より便利さ優先で、スロープやエスカレーターの設置が進み、技術の進歩で砂利道ふうの堅い舗装を見ることがある。が、日本庭園の歩行空間は強度や景観上の問題以外に、植生を考える通水性も必要だ 人に優しい道路は、自然に厳しくなりかねない。障害を取り除く工法に頭を悩ます前に「人力」で助け合うボランティア活動があってもいいのではなかろうか。 |