みなさん、大人の音楽の時間、講師の広瀬香美です。第2回もどうぞ引き続き、よろしくお願いいたします。
みなさん、学生時代の「音楽の勉強の時間」って、退屈ではありませんでしたか。でも、音楽は本来、わくわく、どきどき楽しいもののはず。だからこそ、みなさまに、一緒に楽しく「音楽の勉強」のやり直しを提供するのが、このコーナーです。
さて、今週は、ビーチボーイズ を取り上げます。彼らの音楽は、「夏の海」にぴったりですよね。しばしば、サウンドや歌詞の面から 夏の風物詩として取り上げられることが多いのですが、実はメロディー自体も、とても「夏っぽいメロディー」なのです。
それでは、一体「夏っぽいメロディー」とはどんなメロディーなのでしょうか。今回は、それを、みなさんと一緒に勉強して行こうと思います。
まず初めに答えを言ってしまいますね。
「夏っぽいメロディー」と感じるのは、「サーフィンを連想させるメロディー」だからです。ですから、私はそれを、「サーフィンメロ」と名付けてみました。可愛いでしょ。
ではこの、サーフィンメロって、どんなメロなのでしょうか。
ビーチボーイズの代表曲と言えば、「サーフィンUSA」ですよね。ここで、みなさんが、よりスムーズに音楽の勉強が進むように、「サーフィンUSA」という曲を聴いてみてください。
いかがでしたでしょうか。サーフィンを感じさせる、壮快感あふれる楽曲ですよね。では、曲のメロディーラインを、分かりやすくするために、図を描いて説明しますね。図1がメロディーラインです。
ご覧の通り、いったん始まったメロディーは、一瞬の間、横一線を保ちますが、直ちに落下します。さらに、すべてのメロディーラインは、長いものではなく、短いですよね。
かろうじて(7)だけは、少々上向きになります。しかしやはり、直ちに落下しますけれど。(笑い)どうでしょうか。とても面白いでしょう?
さぁ、もうみなさん、サーフィンメロとはどんな形のメロディーなのか、分かりましたよね。そうなのです。サーフィンメロとは、サーフィンをする時の波のラインを表しているのですね。
みなさんの中で、サーフィンを経験なさった事がある方、たくさんいらっしゃるでしょう。サーフィンという競技は、とても体力と忍耐力のいる、スポーツですよね。
待って、待って、待って、やっといい波に乗れたと思っても、一瞬で落下してしまいます。そして、また、待って、待って、待って、波に乗る→落下する→乗る→落下→乗る→落下→乗る→落下……の繰り返しで、本当に疲労困ぱいするスポーツです。
映画やプロモーションビデオなどで出演している、サーフィンのプロのように、かっこよく壮快に、長時間、一つの波に乗り続ける事など、そうそうできません。
ですから、私は、確信します。
ビーチボーイズは、サーフィンが趣味だったに違いないと!(笑い) そして、この曲のように、サーフィンを連想させるような、壮快感あふれる楽曲が大好きだったに違いないと。
今日の授業のまとめです。
・ビーチボーイズの音楽が「夏の海」を連想させる理由は、メロディーラインにもある。
・歌詞だけではなく、歌声だけでなく、メロディー自体にも、私たちの気持ちをかき立てるイメージがたっぷりと含まれている。
みなさん、いかがでしたでしょうか。これからは曲を聴く時、メロディーラインからも、作曲家の意図を酌み取ってあげてくださいね。
ということで、今週の授業はここまでです。来週もどうぞお楽しみに。
2009年7月29日
広瀬香美(ひろせ・こうみ)
92年7月、アルバム「Bingo!」でデビュー。1枚目のシングル「愛があれば大丈夫」から、リリースする曲が次々にヒット。中でも175万枚の大ヒットを記録したシングル「ロマンスの神様」をきっかけに“冬の女王 広瀬香美”が世の中に定着した。さらに、99年に発売した初のベストアルバム「The Best LOVE WINTER」が240万枚の大ヒットを記録した。以降、ドラマやミュージカル、映画の音楽監督やプロデューサーとしても活動の幅を広げている。また、コンサート活動も07年12月から毎年開催。歌とピアノ、アカペラのみで構成されたツアー「香美別邸」では新たな境地を開拓した。
09年7月から、自らのライフスタイルも盛り込んだブログ「心とろける音楽の時間」を公式サイトで開設している。