2009年8月22日 2時30分
中国の印刷工場で、ナノ粒子(ナノは10億分の1)を吸い込んだ女性従業員7人が肺を損傷し、うち2人が後に死亡したとの分析を北京・朝陽病院の医師らがまとめ、21日、欧州呼吸器専門誌(電子版)に発表した。ナノ粒子の人への影響を示した最初の報告という。だが、米ライス大の研究者らは「分析が不十分で、因果関係が証明されたと言えない」との見解を示した。
健康影響が見つかったのは、18~47歳の女性従業員7人。5~13カ月、工場内で塗料の吹き付け作業をしていたが、息切れの症状が表れた。検査で肺に炎症などが確認され、摘出した肺細胞から塗料に含まれるとみられるナノ粒子が見つかったという。
ナノ粒子は1万分の1ミリと微少で、他の物との反応性が高い可能性があり、これまで知られていなかった健康影響が起きるのではないかと指摘されている。経済産業省などが安全性を調査している。【下桐実雅子】