民主党が320議席を超える勢いを示した毎日新聞の衆院選中盤情勢調査をめぐり、与野党に衝撃が広がった。動揺を隠せない自民党に対し、民主党は上滑りを警戒。一様に「信じられない数字」と驚きの表情を見せた。【田中成之、高山祐】
■戸惑い
民主党幹部は引き締めに躍起だ。鳩山由紀夫代表は21日、民放の報道番組の収録で「調査の数字はあっという間に数%は変わる。全く楽観してはいけない」と運動のゆるみを警戒。小沢一郎代表代行も秋田県湯沢市で記者団に「あまりにも有利でにわかに信じがたい」と指摘した。岡田克也幹事長は奈良県大和高田市の街頭演説で「自民党の候補は地力があり、戦いはこれからだ」と強調した。
党内には戸惑いも広がる。幹部からは「あまり勝ち過ぎると、民主党が分裂して自民党と連立、という可能性も論理的にはあり得る」との懸念まで漏れ始めている。若手の一人は「小選挙区制の恐ろしさだ。4年後の衆院選ではまた逆の結果が出るのではないか」と話した。
■危機感
自民党の菅義偉選対副委員長は21日、調査結果について「批判は素直に受け止めるが、経済対策は間違っていない。投開票日まであと1週間以上ある」と強気の姿勢を見せたが、危機感は深刻だ。
自民党は衆院解散から1カ月を経て「逆風は弱まった」との感触もつかんでいただけに、世論調査で突き付けられた有権者の「自民離れ」に動揺を隠せない。党幹部は「こんな結果は見たことがない」とうめいた。
自民党は選挙戦略の見直しを余儀なくされるが、ある若手は「『選挙後』を担う人材まで落選すれば、党はバラバラになる」と危機感を募らせ、公明党幹部は「惨たんたる結果。自民党は消滅してしまう」ともらした。
共産、社民など他の野党は焦りを深めている。共産党の志位和夫委員長は21日の常任幹部会で「焦点は自公政権退場後に移っている。どういう新しい日本を作るか、一番しっかりした答えを持っているのは共産党だ」とアピールした。
民主党との連立を視野に入れる社民党の福島瑞穂党首は新潟市で「労働法制や憲法、原子力発電など、社民党だからこそできることがある」と独自性を強調。国民新党の自見庄三郎副代表は神奈川県藤沢市で「民主党は参院で過半数を確保していない」と国民新党の重要性を強調した。
毎日新聞 2009年8月22日 2時30分(最終更新 8月22日 2時30分)