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他人の不幸をメシの種とする狂信的市場原理主義過激派タレコミニスト
すべての事象は神の見えざる手に委ねられている。抵抗は無駄だ
von_yosukeyan[atmark]yahoo.co.jp
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK028672520090818
ロイターの記事から。なんだこりゃ
さも、経営問題と結びつける記事になっているが、他行ATM利用回数の多い顧客に対して警告の手紙は数年前から送付されていたように記憶している。具体的な時期は定かではないが、ドケチで有名なティエリー・ポルテ氏がヘッドになってからではないだろうか
ポルテ氏は、MBAホルダーのステレオタイプのような人物で、経営上の重要な判断は責任回避を行う癖があるのに、細かい経費の節減に重大な関心を払ったり、一方で自分の顔を印刷したモノポリー用紙幣を配布したりといった奇行で知られている。大株主のクリストファー・フラワーズ氏との個人的な関係(ハーバート・ビジネス・スクールの同窓)でヘッドに就任したと言われているが、商業銀行の経営経験がないばかりでなく、前職のモルガン・スタンレー時代でも投資銀行家としてはイマイチで、同じような奇行で知られていたらしい
行過ぎた経費節減と、市場として縮小しつつあった時期にあえて消費者金融事業の強化を行ったこと、そして投資銀行業務と有価証券運用の失敗が経営危機の原因だが、ほとんどがポルテ氏がCEOに就任した2005年以降に行われた失策である。「お友達人事」は、自身だけでなく投資銀行業務関係者の引き抜きにも発揮されていて、多額の運用損を積み上げる原因となっている。ポルテ氏の責任は重い
というわけで、経営が悪化→ケチなことをはじめた、というワケではなく、ケチな経営者が経営を傾けさせたと言った方が正確な気がするんだが、そもそもこの記事のソースが「取引関係者からロイターが入手した文書」という点からして、悪乗りしすぎじゃないかなと思ったりする恭子の頃
#追記
しかし、これロイターの記者から質問受けた金融庁も困ってるだろうな。具体的な法令違反があるわけでもないし、「そういう話があるんですか。ちょっと事情聞いてみます」程度の受け答えしかできない。それを記事にされて大迷惑といったところが本音だろう
大体、取引を制限しているわけでもないだろうから、利用者は不利益を被ったわけでもない。だから、やめろと行政指導をかけるわけにもいかないワケで、夏枯れでネタに困った記者が新生の経営問題にからめて突っ走ったといったところだろう
元々、この問題は新生に限らず、いわゆるネット銀行でもATM手数料有料化という形で費用抑制に走っている。例えば、ジャパンネット銀行は有料化して久しいし、イーバンクも8月から無料利用回数の削減を行っている。転機となったのは、ゆうちょ銀行が民営化の際に各種手数料の値上げを行っている理由で、自前のATMを持たない銀行にとっては大きな負担になっていることは確かだ。ぶっちゃけ、ゆうちょATMを年100回近く利用する顧客は、投信を100万円以上保有してないと採算は取れないだろう
問題は、無料使用回数の制限を行うこと自体は、銀行の経営判断なので自由なのだが、回数制限がないと広言してるのに利用数が多い顧客に対して自粛を要請するのが異例だということだ。ただ、記事に引用されている大手銀行企画部の「コストがかさんだからといって顧客の利用に注文をつける例は聞いたことがない」という発言は微妙。明らかに突出して、ATM利用回数や振込振替が多い顧客に対して問い合わせを行うことは、ないわけではない。ただ、コスト的な問題であっても、マネーロンダリングや不正利用の可能性を理由にすることが多いから、ちょっと詭弁くさく感じてしまう
(新生はネット銀行でも新規参入銀行でもないのだが)新規参入の銀行が得た最大の教訓は、「ヒマな顧客をナメるな」ということだ。口座開設したら500円やるといったら、それこそ家族全員分の口座を作る輩もいるし、1円振込を行う権利を10円でオークションで売っていた輩もかつていた。金融機関に限った話ではないが、ITバブル華やかし頃には無料の特典やらクーポン券を配りまくっていたところはたくさんあった。今でもメールボックスを検索してみると、Amazonの3000円無料券(期限切れ)とかが発掘されて、そんな時代もあったなと懐かしく思ったりする
知名度も顧客基盤もない企業が、スタートアップ時にキャンペーンで無料特典を配ったり、キャッシュをばら撒いたりといったことはマーケティング的にはアリだし、おかしいことではないが、問題は釣った客が必要とするサービスを提供して、利益に繋げることが出来たかどうかだ。それこそ、一度も黒字化できずに倒産していった上場IT企業は腐るほどいるが、儲からないことをやめる決断ができた企業はそれほど多くない(廃業することでやめることができたところはたくさんあるだろうが)。目先の経費は棚上げして、顧客層の拡大を図るか、現状の顧客層から利益を得る方策を考えるか、いつかは決断せねばならないときが来る
新生や中央三井の場合は、リテールを収益源にするという方針自体に間違いはないのだが、顧客に必要とされるサービス(とか商品)を提供できたかというと微妙なところがある。売る側にとって都合のいい商品ばかり売ったために、顧客はみんな怒ってるし、経費をケチり始めたので新しい顧客も入ってこないという悪い循環に入ってしまった。そうすると、頭のいい経営者は、さらなる経費節減のための新しいアイディアを実行したりするのだが、大抵はさらなる顧客離れを招いてしまう
新生銀行を見ていて、奇妙に思えるのはイメージがなかなか定まらないところだ。国有化から八城氏中心に再建を図っていた時代には、先進的でスマートなイメージができたが、その後はケチ臭いとか金持ち向けの金融機関というイメージがついてしまった。金融危機前後には、一転して高金利で資金を集める危ない銀行というイメージに変わっている(今回のロイターの記事は、そういったイメージに付け込まれたと言ってもいいだろう)。実際には、新生はプライベートバンキングを行っていないし、リテールの収益源となっている顧客は一般的なサラリーマンだ。HSBCやSCBとは違う
それは、顧客とのコミュニケーションに失敗してると言えるだろうし、他方で新生そのものが誰をメインターゲットにしているのかブレ続けている。それは、八城氏がCitiのやり方を新生に持ち込んだところまではよかったが、ポルテ時代になってCitiとやっていることを形だけ真似するようになったのが原因だろう。八城氏は、エクソン時代から徹底的な顧客志向を打ち出し、エクソンとCitiの日本法人を発展させた経験があるが、ポルテ氏は単純に手っ取り早く儲ける手段を他所からもってくることしか考えられなかった(これもMBAホルダーの典型的なステレオタイプにあてはまってしまう)。単純に、既存の商品体系の見直しではなく、明確に新生銀行は変わるという強いメッセージを打ち出せなければ、今後のリテール基盤の再建は難しいのではないかと思う
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