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医療・介護
集団インフルの大田原日赤 沈静化へ早期発見徹底(8月21日 05:00)外科の看護師を中心に計11人が新型インフルエンザを発症した大田原赤十字病院(宮原保之院長)。感染拡大防止策が奏功し、発生から12日間で事態は終息した。発症した職員の早期発見や基礎疾患を持つ患者への対応など、新たな新型インフルエンザ対策の必要性が浮き彫りとなった。 同院外科病棟では7日から11日にかけ、医師や患者ら計11人に感染が疑われる症状が表れた。遺伝子検査で2人の感染を確認。発症者のうち8人が外科の看護師だったため、ナースステーションで感染が広がった可能性が高いとみられている。 同院によると、職員が不調を訴えたのは症状を感じてから2、3時間後。院内感染対策委員長の阿久津郁夫副院長は、「(感染拡大リスクを減らすため)症状を感じた職員がすぐ訴え出るよう周知すべきだった」と悔やむ。沈静化後、各科に早期発見を周知した。 同院は発生後にさまざまな感染拡大防止策を講じた。立案の中心を担ったのは感染症対策の専門医ら。外科病棟の入転院を禁止し、発症した職員を1週間の就業停止に。発症者との濃厚接触者には抗インフルエンザ薬を予防投与した。 感染拡大防止策が奏功し、18日には発症者が全員回復。外科病棟での規制を解除した。阿久津副院長は「専門医の存在や昨年策定した対応マニュアルが役立った」と分析する一方、外科病棟での緊急性が低い手術の延期措置などは「新たにマニュアルに加える必要がある」とした。 県内ではこれまで重症感染者が出ていないが、沖縄県や愛知県で感染者の死亡例が出ている。死者はいずれも腎臓や血液に基礎疾患(持病等)を抱えていた。阿久津副院長は「幸い軽症者だけだったが、基礎疾患を抱える患者がいたら、と考えると怖い」と打ち明ける。 同院は重症化しやすい傾向がある基礎疾患患者への対応も視野に入れ始めた。病状が安定している透析患者や呼吸器疾患患者らには薬を長期間処方し、通院回数を減らす診療体制を検討している。 院内集団感染が疑われる事態で同院は外科病棟を事実上閉鎖する状況に陥った。だが阿久津副院長は「今後の対策に役立った部分も大きい」と振り返る。「飛沫感染するインフルエンザには、手の消毒やうがいなど基本対策が大切。対策を立てる上で役立った専門医の育成は、どこの医療機関でもできること」と総括した。 その他のニュース
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