2009年8月20日14時55分
【ニューヨーク=松下佳世】「不明確でカリスマ性に欠ける」「かんしゃく持ちで周囲の手に負えない」――。潘基文(パン・ギムン)国連事務総長をノルウェーの外交官が痛烈に批判した本国政府あて公電の全文を地元紙がスクープし、波紋が広がっている。これまでも欧米メディアの厳しい批判にさらされてきた潘氏だが、初代事務総長を出した国からの「ダメ出し」はさらに痛手となりそうだ。
公電は、モナ・ユール次席国連大使の名前入り。19日付のノルウェー紙「アフテンポステン」が報じた。
民主化指導者アウン・サン・スー・チーさんとの面会すらかなわなかった7月の事務総長のミャンマー(ビルマ)訪問を「指導力を見せようともがく事務総長を象徴する成果のなさ」と断じ、スリランカ情勢をめぐっても「非力な傍観者」でしかなかったと指摘。核軍縮分野での存在感の無さや、金融危機での無策ぶりを挙げ、オバマ米政権内で「1期だけの事務総長」と呼ばれている、と記している。
同紙の取材を受けたストーレ外相は、あわてて潘氏を「勤勉家」などと弁護したが、電報の存在については否定しなかった。
ユール次席大使は93年の中東和平オスロ合意締結に尽力した実力者。夫のラーセン氏は潘事務総長の下でレバノン問題特使を務めている。