経営者インタビュー
株式会社インクルーズ
代表取締役 中川 雅也
会社名 | 株式会社インクルーズ |
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本社所在地 | 東京都中野区本町1-32-2 ハーモニータワー21階 |
資本金 | 3,062万円 |
設立 | 2001年8月13日 |
代表取締役 | 中川 雅也(ブログはこちら) |
主な事業内容
モバイルの企画・コンサルタントからメディア運営、コンテンツサービス運営、システム開発まで、トータルなサービスを提供。また新規にモバイルとリアル広告のニーズの高まりを見据えリアル広告を取り扱うセールスプロモーション部門を設置し、モバイルを軸にスピードとコストパフォーマンスの良さを第一に(1)広告メディア事業、(2)コンテンツ事業、(3)ソリューション事業、(4)プロモーション事業の4つの事業を展開。
独占インタビュー
- Entrepreneur’s Eye! ~Webプロデューサーとしての価値~
- New Value Creation ~リスクを背負ってでもやりたいことをしたい~
- Company’s mission! ~最終的に育てるべきは「人」~
- Message for students ~夢を実現させる情熱を持ち続けて欲しい~
Entrepreneur’s Eye! ~Webプロデューサーとしての価値~
私が起業家になろうと思ったきっかけは会社に裏切られたときでした。当時は1997年、インターネットという言葉がようやく表舞台に出てこようかという頃、モバイルの将来性(当時i-modeが200万ユーザー)を感じ、今では一般的なオプトインメール(あらかじめ自分の好みのジャンルを登録してもらい、それに従って広告が送られてくるというDMのメール版)を企画したんです。社長にその企画を提案すると、金がないから他の会社にプレゼンしに行くぞ、と言われ、社長と二人でプレゼンに行きました。その企画に4000万円という出資が決まり、なのにその直後に私は担当から外されました。結局、お金が欲しかっただけなんでしょうね。
でも逆に言うと、この件で私は自分でもやっていけると自信がついたんです。24歳の自分でも4,000万円もの価値がある企画が生み出せる。このインターネットビジネスというものは非常に可能性を秘めたものだと、そのときに肌で感じました。そして会社を辞めてすぐに100万円を親に借りて、自分で事業を始めました。当時、インターネットは私の中でお金を生み出す金の卵でしたね。独立した当初からほとんど苦労と言うものは経験せず、けっこう簡単にお金は入ってきました。当時はまだ今のようにWEBをプロデュースできる人間がほとんどいない時代でしたから、特に自分から売り込んでいかなくても、紹介だけで仕事は舞い込んできました。しかし順調に業績伸ばしていきましたが、2003年に会社はいったん会社の売却を決意しました。ただその会社の運営管理上請われて、あらためて資本提携先の経営陣にとして、その後上場できて、そんな感じで事業とは深く関わっていました。
NNew Value Creation ~リスクを背負ってでもやりたいことをしたい~
会社譲渡益と上場益でお金には困ってなかったんですが、そういう問題ではなかったんです。資本提携した会社ではナンバー3をやっていたんですが、リスクがない分権限が無い、つまりやりたいようにやれないということなんですね。そのまま残っても悠々自適な生活はできたかもしれませんが、私は自分のやりたいようにやれる会社を作りたかった。
だから、作ったのがこのインクルーズという会社です。社名は造語でインクルードというプログラミングの関数と英語のクルーズから思いつきました。まさに新しい船出でしたね。
ビジネスの根幹はやはり自分が得意なインターネット分野、特にモバイルに特化して事業を進めました。私が作りたかったサービスは、衣食住というライフスタイルに密着したものでした。そういう意味で、ほとんどの人が肌身離さず持っていて、生活に一番近いところにある携帯電話のビジネスこそ、その思いを反映できると思ったからです。
私達のビジネスの強みは大きく二つあります。一つは全てのシステムを自社内で完結し、そしてそのスピードが非常に速いこと。企画を構想してサービスインするまで1ヶ月くらいということもごく当たり前です。多分普通の開発会社の倍以上のスピード感ですが、これくらい意思決定が早く、柔軟な対応をしていけないと、顧客のニーズをつかむことが出来ないと考えています。もう一つは独自の集客力。さまざまなモバイルメディアを構築し相互に連携させていきつつ、自社独自の会員ネットワークを作り上げてきています。そしてこれらを武器にまた新たなメディアを立ち上げることが出来るようになります。
現在、電子書籍検索メディア「ぶっコミ」を新たに立ち上げましたが、みんながいつも持ち歩いている携帯でしかできないサービスをこれからもどんどん出していきたいですね。
Company’s mission! ~最終的に育てるべきは「人」~
弊社は2006年度から新卒採用を開始したのですが、希望をもって入社してくる子たちをどう育てるか、ということが今の課題だと思います。上場するとか、いいサービスを作るとか、っていうのはもちろん目標としてありますけど、やっぱり会社を作っているのは人材なんですね。だから、いい人材を創ることが今の弊社のミッションだと思います。
例えば、いい商品じゃないから売れない。という人がいる。でも、それを状況のせいにしていたら何も変わらないと思うんです。じゃあ、なんで売れないのか?どういう風にすれば売れるのか?それを考えなければいけない。それを考えるためにはまず、すべては自分の責任だと自覚することが必要です。そう考えるようになるために社員教育をするのが社長の仕事、会社の責任だと思っています。
また、自己責任という意味では、就職先は自分で決めなさい、とよく新卒の子たちには言っています。大学までは親にこうした方がいい、ああした方がいいって言われて育ってきた子達が本当に多いんですよ。ただ、社会に出てからは、自分の人生だから自分で責任を取りにいかなければいけない。自分の意に反して親の勧める会社に入社して、そこで何かトラブルが起きたら、親のせいになってしまいます。ただ、親はずっと生きているわけではないんです。だから、自分で決めたことには自分で責任をとる。そのためには自分で考える。そういう教育をするのが弊社のミッションだと思います。(具体的に今やっているのは、とにかくほめることと、そして成果にみあったインセンティブを出すことです。それで社員が自分で考えるモチベーションが上がるなら、安いものだと思っています。)
Message for students ~夢を実現させる情熱を持ち続けて欲しい~
私は「あなたの夢は何ですか?」と言われたときに即、答えられる人は素晴らしいと思っています。私は、自分の会社がライフスタイルに密着したサービスを創る企業であり、「ライフスタイルを突き詰めていくとホテルになる」と自分で思っていることもあって、最後の夢はホテル建設なんです。エンターテイメントとホスピタリティを兼ね備えた夢のホテルをそれほど遠くない将来に建設したいと思っています。
いい車に乗りたい。いい家に住みたい。こういうライフスタイルで生きたい。世界一周旅行をしたい。何でもいいから、夢を持つことがまず大事です。その夢を持ったら、次はそのための情熱を持ち続けること。周りに流されずに、自分自身でプロになれることを探してください。プロって言うと難しく聞こえるかもしれませんが、これも小さいことでもいいんです。でも、これは人には負けないっていう分野を持つことが一つの強みになると思います。
それと、学生時代にはとにかく、勉強と旅行はしてほしいですね。勉強に関しては、いろいろな人も同意見だと思うんですが、学生時代の時間があるうちに勉強はしておくべきです。私もしておけばよかったと後悔している人間の一人ですから。旅行に関しては、できるだけ海外に行って欲しいですね。海外に行って言葉の通じない国で自分が日本にいるときと同じように過ごせるか、というのも一つの良い挑戦だと思います。海外に行って萎縮するのではなく、日本語でもいいからタクシー運転手とやり合うくらいの度胸がある人間になってほしいですね。私はそうですから(笑)
取材記事作成
内藤佐和子 (東京大学法学部4年)