Because It's There
主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
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2009/08/19 [Wed] 02:05:55 » E d i t
政権選択をかけた第45回衆議院選挙は平成21年8月18日午前、公示され、30日の投開票に向けて12日間の選挙戦が始まりました。マニフェスト(政権公約)に掲げた、子育て支援や景気対策、財源問題も争点にはなっているものの、自民、公明両党が衆議院過半数の214議席以上を確保し政権を維持するか、民主党中心の政権を誕生させるのかを問う「政権選択」が最大の焦点です。

民主党が衆議院の過半数を占めるだけの候補者を擁立しており、世論調査からすると、政権交代を現実味を帯びていることから、有権者にとっては、今回の衆議院選挙は、今後も麻生太郎氏(自民党総裁)を首相として相応しい資質があると認めるのか、それとも、民主党の鳩山由紀夫代表を新首相として認めるのかどうか、ということでもあります。この意味で、米国の大統領選挙と類似する選挙となっています。


衆院選の仕組み

 現行の小選挙区比例代表並立制は、1996年の衆院選から導入された。全国を300の選挙区に分けて1人を選出する小選挙区と、11ブロックで総定数180の比例代表から成り、計480議席を争う。小選挙区の投票用紙には候補者名を、比例代表には政党名をそれぞれ記入する。
 比例代表は、ブロックごとに、政党の得票数に応じ「ドント方式」で議席を配分し、名簿順に各党の当選者が決まる。政党要件を満たした政党は、小選挙区の候補者を比例代表に重複立候補させることができ、小選挙区で落選しても比例代表で「復活当選」の可能性がある。
 また、重複立候補者に限り比例名簿で同一順位にできる。小選挙区で敗れた場合、当選者にどれだけ迫ったかを示す「惜敗率」で、比例の当選者が決定する。(2009/08/18-07:06)」(時事通信:2009/08/18-07:06)




1.報道記事を。

(1) 朝日新聞平成21年8月18日付夕刊(4版)

政権 継続か交代か
総選挙公示 自民・民主、公約掲げる決戦
2009年8月18日12時19分

 自公政権の継続か、民主党を中心とした新政権の誕生か――。「政権選択」が最大の焦点の第45回総選挙が18日、公示され、各党の党首が第一声をあげた。自民党は政権運営の実績を強調し、「責任力」を前面に景気回復を最優先する姿勢を示す。民主党は官僚主導政治からの脱却を掲げ、自民党長期政権に終止符を打つ「政権交代」の実現を強く訴える。すでに子育て支援などマニフェスト(政権公約)に掲げた政策の財源をめぐる論争が活発化。与野党は12日間にわたって論戦を繰り広げる。投票は30日で、即日開票される。

■30日投票 麻生首相「景気策を最優先」 鳩山代表「新しい政治興す」

 麻生首相(自民党総裁)は18日、東京都八王子市で第一声。党内の結束の乱れについて「力不足を含め、おわび申し上げる」と陳謝したうえで、規制緩和による地域間格差やワーキングプアなどを挙げ、「国民が心配する問題に配慮が足りなかった。率直にゆがみを認め、対応したい」。景気対策を最優先する考えも強調し、「政権ではなく、政策を選択してください」と「責任力」を訴えた。

 首相は景気回復や安心社会の実現、北朝鮮の脅威から「日本を守る」という訴えに加え、保守層を引きつけるため日本の歴史や伝統を守る姿勢も打ち出す。17日の党首討論では、民主党が鹿児島県の集会で切った日の丸をつなげて党旗をつくっていたと明かした。衆院解散から投開票まで過去最長の40日間あることを生かし、懸命に巻き返す。

 第一声に八王子市を選んだのは若者が学ぶ大学が多く、「成長戦略を重視する党として未来を意識した」(周辺)ためだ。公明党との選挙協力も重視し、同党の支持母体・創価学会が創価大学など関連施設を同市内に置いている点も考慮。首相は18日午後には公明党の太田代表の地元でも街頭演説する。

 公明党は太田氏や北側一雄幹事長ら小選挙区候補8人全員が比例重複しない「背水の陣」で臨む。太田氏は横浜市での第一声で「財源なき政策、くるくる変わるマニフェスト、危うき安全保障、党首2代の献金偽装」と民主党を批判。「経済回復に全力を挙げ、医療、介護、子育て、若者の雇用支援に力を注ぐ」と訴えた。

    ◇

 「歴史を塗り替える日がやってきた。民主党に政権交代の力をお与え下さい」

 民主党の鳩山代表は18日朝、大阪市中央区の繁華街でマイクを握った。「官僚任せの政治ではなく、皆さん方が一つ一つの政策に加わる新しい政治を興す」と訴え、「消えた年金」の解決や雇用改善に取り組む考えを示した。

 報道各社の世論調査では、なお優勢を保つ。同党は、勝敗を最後に左右するのは大都市部とみる。第一声を鳩山氏が大阪、菅直人代表代行が東京に立つ役割分担で臨んだのも、そんな戦術の一環だ。

 鳩山氏の虚偽献金問題やマニフェスト修正、安全保障政策をめぐる発言のブレ……。前哨戦では、与党から激しい批判を浴びてきた。鳩山氏がいくら、「我々はチャレンジャー」と訴えても、守勢から抜けられない。鳩山氏は18日、「麻生さんが『責任力』というなら、皆さんの一票の力で責任をとってもらおう」と麻生首相批判も忘れなかった。

 民主党以外の野党も、流れに乗ろうと必死だ。7月の東京都議選後、民主党政権を前提とした「是々非々路線」に転じた共産党の志位委員長は東京都新宿区で、「自公政権を終わらせる有権者の審判を下そう」と強調。社民党の福島党首は沖縄県宜野湾市で「社民党がしっかり入らなければ生活の再建、平和の再建はできない」と訴えた。国民新党の綿貫代表は東京都羽村市で小泉改革を批判。みんなの党の渡辺代表は政界再編も訴えた。」



(2) 麻生首相(自民党総裁)が第一声をあげたのは、「東京都八王子市」でした。なぜ、東京都八王子かというと、それは公明党、創価学会に向けて声をあげるためでした。

 「第一声に八王子市を選んだのは若者が学ぶ大学が多く、「成長戦略を重視する党として未来を意識した」(周辺)ためだ。公明党との選挙協力も重視し、同党の支持母体・創価学会が創価大学など関連施設を同市内に置いている点も考慮首相は18日午後には公明党の太田代表の地元でも街頭演説する。」(朝日新聞)


八王子は、自然にあふれた場所であり、広い土地があるために都心から大学が移転しただけのことであって、自然に若者が集まっているわけではないのです。ですから、「成長戦略を重視する党として未来を意識した」なんて、嘘としか思えません。ですから、自民党にとっては、公明党の支持母体の票がどうしても欲しいために、八王子を選んだということなのでしょう。

確かに、支援団体に応援を頼むことはおかしなことではありません。しかし、この支援団体は、あくまでも宗教団体なのです。こうした露骨に特定の宗教団体に擦り寄った国会議員を見ると、非常に気分が悪くなります。麻生太郎氏は、憲法20条で規定している「政教分離の原則」の意義をどう考えているのでしょうか。

国会議員は、全国民の代表者(憲法43条1項)なのですから、特定の宗教団体に擦り寄ることなく、国民一般を相手にして政策などの主張を説明するべきなのです。麻生太郎氏及び特定宗教団体に擦り寄ることを決定した自民党は、全国民の代表者としての資格がないといわざるを得ません。


2.では、各党の第一声を引用しておきます。

(1) 朝日新聞平成21年8月18日付夕刊2面「各党首 熱く第一声(主な政党)

自民党 麻生太郎総裁

政策実行する責任力見て
2009年8月18日

 自民党内で結束の乱れがあり、まとまっていないという意見もあった。力不足を含め、おわび申し上げる。規制緩和による地域間格差やワーキングプア、国民が心配する問題に配慮が足りなかった。率直にゆがみを認め、対応したい。政局より政策、景気対策を優先すべきだと確信し、予算編成を4回やり、経済は先行きに明るさが出てきたが、肌で景気を実感できるところまで至っていない。景気最優先でやる。民主党みたいに予算を組み替える愚かなことはしない。政権ではなく、政策を選択してください。どの党が政策を実行する責任力があるか。日本を、国民の生活を守るのは自由民主党だ。(東京都八王子市で)」



民主党 鳩山由紀夫代表

歴史塗り替える日が来た
2009年8月18日

 日本の歴史を塗り替える日がやってきた。あなたたちが主役になる新しい政治を、勇気を持っておこそうではないか。冷たい政治ではなく、温かい政治を作り出すため、民主党に政権交代の力をお与えください。自民党の長期政権、自分たちはポスト争い、政策は官僚に丸投げ、そんな惰性の政治に終止符を打たなければならない。小泉さんの時代から4人目の麻生総理。4年前の公約は、ほとんど果たされていない。マニフェストは国民との契約。契約を果たさなければ責任を取らないといけない。麻生さんが責任力というなら一票の力で責任を取ってもらおう。新しい政治を勇気を持っておこしていこう。(大阪市中央区で)」



公明党 太田昭宏代表

清潔政治実現へ決定打を
2009年8月18日

 政権選択の選挙と言われるが、大事なのは政策の中身だ。ぶれない政策とやり抜く力を持っているのは公明党。民主党は「子ども手当」と言っているが、いい加減にしてもらいたい。00年以降、児童手当(拡充)に4回とも反対したのが民主党だ。民主党は財源なき政策、くるくる変わるマニフェスト、危うき安全保障、党首2代の献金偽装がある。この選挙で、生活実感の選挙に変えようではないか。清潔政治実現への決定打を打とうではないか。生活を守るのは公明党。景気、経済回復に全力をあげる。医療、介護、子育て、若者の雇用支援に力を注ぐ。厳しい選挙戦を勝ち抜かせていただきたい。(横浜市旭区で)」



共産党 志位和夫委員長

自公政権を終わらせよう
2009年8月18日

 いよいよ歴史的な総選挙が始まった。この首都・東京でも、日本列島津々浦々でも、共産党の躍進を勝ち取るために燃えに燃えている。共産党はどんな問題でも、自公政権と真っ正面から対決してきた政党だ。どうかこの党を伸ばしていただいて、自公政権を終わらせる有権者の審判を下そうではありませんか。私たちは、民主党政権ができた場合、建設的野党として、皆さんの要求を政策の形で積極的に提案し、国民にとってよいことには賛成する、悪いことはきっぱり反対という立場で、現実政治を前に動かすために頑張り抜く。間違った政治がやられようとした時、防波堤となれるのは共産党しかない。(東京都新宿区で)」



社民党 福島瑞穂党首

政権かえ生活と平和再建
2009年8月18日

 自民党政治が今まさに終わろうとしている。政権を代えて、社民党が新しい政治を切り開く。今度の選挙で生活再建と命を大切にする政治を訴えている。政権が代われば必ず労働者派遣法の抜本改正案を直ちに成立させる。教育、医療、介護などできっちりと雇用をつくっていく。憲法9条を守り、非核三原則の堅持と法制化を実現していく。小泉構造改革は方向が間違っていると真っ先に批判してがんばってきた。政権交代、社民党がしっかり入らなければ、生活の再建、平和の再建はできない。社民党は2けた台を何としても確保したい。新しい政治の転換を本当にできるのは社民党だ。政権を代えよう。(沖縄県宜野湾市で) 」



国民新党 綿貫民輔代表

郵政改革見直し日本復活
2009年8月18日

 各政党は人気(取りの)政策競争をしている。我が党は、小泉内閣が「郵政の改革こそがあらゆる改革の本丸」と叫んだ(後の)4年間を徹底的に総括し、検証し、未来の道を考える。いま国民の間では、格差の拡大に不平不満が渦巻いている。曲がりかかった日本の背骨を正すのは、郵政法案の結果を検証することで開かれる。人間力、共生という美しい日本の文化が、競争至上主義で破壊する方向に行った。郵政民営化を見直すことが日本を見直すことだ。それを1丁目1番地にし、ぶれず、こびず、おごらずやってきた。ふるさと再生、日本復活。日本を生き生きとした助け合える社会にする。(東京都羽村市で)」



みんなの党 渡辺喜美代表

国民の手に政治取り戻す
2009年8月18日

 この国の国家経営のゆがみをたださなければ、この国は終わってしまう。妊婦の病院のたらい回し、3万数千人と言われる自殺者。政治のゆがみが生活の前に立ちはだかり、政治が解決できないでいる。いまの自民党では、このゆがみを変えることができない。国民の手から政治が離れて久しい。我々が原点に返って、国民の手に政治を取り戻す。税金や保険料が官僚のへそくりになっているとしたら、洗いざらい発掘し、国民にお返しする。私たちは政権交代を目指す。「みんなの党」は皆さんの党だ。真の改革新党だ。政権交代プラス政界再編によって脱官僚、地域主権、生活重視の三つが花開く。(栃木県大田原市で)」



改革クラブ 渡辺秀央代表

改革か、革命かの選択だ
2009年8月18日

 今回の選挙は政権交代とか言われている。しかし、まさに改革か、革命かの選択だ。民主党を中心とする野党の考えは革命理論だ。革命は今までのすべてを否定する。議会制度を否定し、新たな政権による独占体制を敷くねらいがある。民主党に政権を取らせたら日本はダメになる。間違いなく確信を持ったから、民主党を離れ、改革クラブを結成した。改革こそ保守である。(堺市中区で)」



新党大地 鈴木宗男代表

格差広がる政治にノーを
2009年8月18日

 後期高齢者医療制度で、75歳以上のお年寄りに新たな1割負担を強いた自民党政治は血の通った、心の通った政治でない。安心、安全、安定のためにも、今こそ政権交代が必要だ。郵政民営化の抜本見直しをまずは1丁目1番地でやらせて下さい。それが地域の発展、地域の安全安心につながる。格差の広がる政治にノーと言いましょう。北海道がよくなれば、日本がよくなる。(札幌市北区で)」



新党日本 田中康夫代表

おかしいことは変えよう
2009年8月18日

 官僚統治、中央集権、既得権益がはびこる日本を根底から改めるべく、今こそ日本の「改国」を行わなければならない。「脱ダム宣言」こそ「脱ムダ宣言」と繰り返してきたのもこのため。地域の雇用や活力を生み出すとされた巨大な公共事業で潤ったのは、東京のゼネコンだけだ。私は長い物に巻かれず現場主義、直接対話でやってきた。おかしいことは一緒に変えていこう。(兵庫県尼崎市で)」



(2) 第一声で、どの党首がどの場所で何を話したのか、よく覚えておくべきでしょう。大阪市中央区で声をあげた民主党代表、東京都新宿区で声をあげた共産党委員長、沖縄県宜野湾市で声をあげた社民党党首など。公明党は別として、自民党以外の政党は、国民一般に向けて声をあげていることが分かります。

では、自民党はというと、麻生首相は、特定宗教団体に擦り寄るという大事な第一声であったのに、第一声をあげる場所に遅れてしまうという醜態をさらしてしました。

首相第一声、渋滞で遅れる=衆院選

 18日公示された衆院選で、麻生太郎首相(自民党総裁)を乗せた車が第一声場所の東京・JR八王子駅前に向かう途中、中央自動車道の事故渋滞に巻き込まれ、首相の演説開始が約20分間遅れるハプニングがあった。会場では候補者が演説を引き延ばして事なきを得たが、首相としては政権維持が懸かる選挙で出だしからつまずいた格好だ。 (2009/08/18-12:49)」(時事通信:2009/08/18-12:49


「政権維持が懸かる選挙」であっても「出だしからつまずい」てしまうのが、今の日本の首相ということなのでしょう。「中央自動車道の事故渋滞」はやむを得ないものでありますが、渋滞を見越して行動計画を立てるというスタッフがいないということでもあります。「渋滞」だったから遅刻しても許されるという、生ぬるい世界に生きているのが麻生氏であるわけです。



(3) 現在の選挙情勢は、小泉チルドレンは全滅に近い状況にあり、また、元首相などの大物自民党議員の多数(森喜朗氏、武部勤氏、久間章生氏、中山太郎氏、海部俊樹氏、堀内光雄氏、山崎拓氏、杉浦正健氏、与謝野馨氏、深谷隆司氏など)が落選危機にあるという状態です。

それは、小泉改革路線下において、格差が拡大し、地方経済がより衰退し、非正規雇用の拡大により雇用破壊が進み、そうした弊害をリーマンショックが決定的に悪化させました。安倍晋三氏、福田健夫氏と2代続けて政権を放り出すという無責任な首相を輩出した政党であることをさらけ出してきたというのに、自民党と公明党は、無責任首相への糾弾もなく、小泉改革が国民に与えた害悪に対する反省もありません。

こうした無責任さをばら撒いているのが自民党なのに、麻生太郎氏は、「どの党が政策を実行する責任力があるか。日本を、国民の生活を守るのは自由民主党だ」と、論旨が一貫しない、支離滅裂な主張をし続けるのです。



(4) 麻生太郎氏は、自分が論旨が一貫している主張をしていると信じているのでしょうが、多くの国民にはそんな奇妙な信仰心はありません。

自民党のいう「責任力」とは何か――(横浜市・40代)

 「責任力」。今回の衆院選挙における自民党のキャッチコピーだ。麻生首相は演説でこの言葉を連発しているが意味が分からない。そもそもこんな言葉はあるのかと辞書で調べてみたが見当たらなかった。そこで推察してみる。

 「責任感があります」と言いたいのだろうか? 安倍、福田氏と2代続けての前代未聞の政権放棄をして、それはないと思う。無責任の極みだ。

 では「責任を取ります」と言いたいのだろうか? これなら分かる。小泉政権の行き過ぎた規制緩和、格差の拡大、遅々として進まぬ年金問題、無くなることのない天下り等々。責任を取って頂きたいことはやまほどある。

 しかしながら自民党、麻生氏にとって「責任を取る」とはどういうことなのだろうか。前回の参院選挙は国民が自民党に責任を取らせたものだったと思うのだが、その後は衆院において度重なる強行採決。散々好き勝手なことをしておいて、都議選敗北、支持率低落を突きつけされると今度は、「責任力」で更に続けさせて下さいという。市井に生きる私には理解し難い。長く政権与党にいるとこれが普通なのだろうか。

 麻生首相の辞書に「責任力」とは何と書いてあるのだろうか、伺いたいものだ。」(朝日新聞平成21年8月18日付朝刊16面「声」欄)



リーダーの資質こそ問いたい――(福岡県・50代)

 麻生太郎首相は長崎平和記念式典でのあいさつで「傷跡」を「しょうせき」と読んだということですが、漢字を読めないことが問題なのではありません。読めもしない漢字のある文章を自分で作るはずもなく、全く人任せにしていることは明白であり、被爆者への誠意が伝わらないということが問題なのです。

 首相はこの中で核廃絶を訴えていますが、別の機会に米国の「核の傘」の必要性も主張しています。論旨が一貫しておらず、確固たる信念がないと思わざるを得ません。

 15日の靖国神社参拝についても「(靖国は)最も政治やマスコミの騒ぎから遠くに置かれるべきもの」とのコメントで、自身は参拝はしないものの、参拝に賛成なのか反対なのかははっきりしません。

 選挙対策のためか、短絡的に定額給付金をばらまいても抜本的な景気対策には程遠く、八方美人的な態度では真の信頼を得られないどころか結局国民がそのつけを払わされることになるのです。

 リーダーに求められる資質とは、たとえ反対意見が多くても長期的なビジョンいのっとった政策を堅持し、誠意をもって一貫してやり抜く強靭(きょうじん)な意志です。今度の総選挙はそういったリーダーのっ資質が問われる選挙だと思います。」(朝日新聞平成21年8月18日付朝刊16面「声」欄)


 イ:「散々好き勝手なことをしておいて、都議選敗北、支持率低落を突きつけされると今度は、『責任力』で更に続けさせて下さいという。市井に生きる私には理解し難い」「首相はこの中で核廃絶を訴えていますが、別の機会に米国の『核の傘』の必要性も主張しています。論旨が一貫しておらず、確固たる信念がないと思わざるを得ません」――。新聞の投書欄には、麻生太郎氏の発言は支離滅裂であり、論旨が一貫しないと分かっている、有権者の素直な声が掲載されているのです。

なぜ、麻生氏以外の自民党議員は、支離滅裂な発言を繰り返す麻生氏を止めようとしないのでしょうか。自民党議員は、自滅の道を突き進んでいることが分からないのでしょうか――。


 ロ:帰宅する途中、自民党の立候補者とその運動員に出会いましたが、ほとんどの人が差し出すチラシを受け取らず、冷ややかな目を向けて通り過ぎるだけでした。こうした光景は、もう何度も目にしています。自民党を支持しないだけでなく、主張さえも読む気がしない――。シャッターが増える商店街を日々目にしている有権者にとって、自民党や公明党へ向ける目が厳しいのは当たり前のことです。

ここまで、有権者の自民党離れが進んでいることは、自民党の立候補者は痛烈に感じているはずです。選挙戦に突入する前に、自民党議員は気づかなかったのでしょうか。もし、気づいていたのであれば、何度も失言を繰り返す麻生太郎氏を自民党総裁に就任させるべきではありませんでした。

インターネットで検索すると、何人の方が感じているようですが、麻生太郎氏は、軽度の認知症を患っているのではないでしょうか。話しているうちに主張がぶれてしまうことを何度も繰り返す、何度も支離滅裂な主張を繰り返しておきながら、支離滅裂であることが理解できない、信じがたいほど漢字の読み間違いを繰り返す、つい感情的な発言をしてしまうことが増えてきた、といったことは、認知症の症状と似ているのです。麻生太郎氏は、以前から失言を繰り返す性癖がありますが、そうした症状はもしかしたら、認知症が原因だったのではないかと思えるのです。

認知症を社会から締め出すつもりはありません。当人の意思を尊重し、できる限り社会に貢献できる道を探るべきでしょう。しかし、認知症を患っている者(若しくは極めて近い症状を示している者)に、首相という重責を負わせることは無理があるように思うのです。




3.最後に。

(1) 朝日新聞平成21年8月18日付夕刊1面「素粒子」

 「公示日。とはいえもはや終盤戦。各地に色んなセンセイ方。
     ◎
 知りませんでした。あなたがそんなに祭り好きの方だとは。
     ◎
 知りませんでした。あなたがそんなに愛想がよい方だとは。
     ◎
 知りませんでした。あなたがそんなに地元第一の方だとは。
     ◎
 あなたの苦戦を知りました。でも私の暮らしはもっと苦戦。」



(2) 衆議院は平成21年7月21日午後1時からの本会議で解散され、政府は直ちに臨時閣議を開き、第45回総選挙について(定数480)「8月18日公示−同30日投開票」とする選挙日程を正式に決定したのですから、事実上、40日間の選挙戦でした(「衆議院解散、8月30日総選挙〜民主主義の未来賭けて」(2009/07/23 [Thu] 23:58:01)参照)。ですから、選挙戦は「もはや終盤戦」なのです。

地元には見向きもしなかったのに、突如として祭りに顔を出して続けている、自民党の与謝野馨氏。あなたがそんなに愛想がよい方だとは」と問われて、有権者はそれぞれ多くの自民党議員を思い起こすでしょうが、自民党の塩崎恭久氏もその一人でしょう。

他人の応援ばかりで地元にいなかったのに、週末ごとに地元の集会に顔を出して「地元第一」のポーズをしているのは、元首相の森喜朗氏です。それだけでなく、大島理森国対委員長、伊吹派会長の伊吹文明元幹事長、最大派閥・町村派会長の町村信孝前官房長官さえも、自派の応援にはほとんど回らず、地元に張り付く日々なのです。

各党の政権公約も知れ渡り、各党の立候補者の名前も知れ渡り、新人であってもその選挙活動はかなり知れ渡っています。 自民党の候補者がいくら地元に張り付こうと、有権者の冷たい目は変わらず、自民党の立候補者が挽回する可能性は少ないでしょう。

自民党議員に多かった世襲議員も、この情勢のままであれば、多くが落選します。そうなれば、世襲候補者に対する立候補法規制をするまでもないことになります。衆議院選挙において、自民党が壊滅的な敗北となることは、自民党下での多くの悪弊が一掃できる契機となるといえるのです。

「政権選択選挙で投票する前に〜なぜ自民党は政権担当能力を失ったのか? 政権担当の準備が整っていなければ与党になれないのか?(朝日新聞より)」(2009/07/21 [Tue] 05:10:29)で触れたように、政権交代があっても、状況を一晩で変えられるわけではありません。民主党の政権運営が、市民に不安を与えることもあるかもしれません。

しかし、「政治や官僚機構は、野放しにされたり、説明責任に無関心だったりすると、独りよがりになり、腐敗する」ことから、前政権でしてきたことを総ざらいして、見直す必要があり、見直しのための最も効果的な方法が「政権交代」であるということなのです。不安よりも、政権交代で得られる利益が大きいために、民主主義国では政権交代がなされるのです。

日本では長期間、自民党が政権を担ってきました。しかし、1つの政党が独占的に長期間政権を担ってきたことは、まるで北朝鮮や中国のような共産主義国の政治体制であって、資本主義国家・民主主義国では異常というべきです。日本でも政権交代がなされることによって、世界に対して、日本が普通の民主主義国であることを示すべきときが到来したように思うのです。

テーマ:衆議院選挙 - ジャンル:政治・経済

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