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国旗の色を知ればもっと面白くなる配色の秘密

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国旗の色を知ればもっと面白くなる配色の秘密

――カラーマーケティング研究会では テーマを決めて「ある色」を定点観測したり、 話題の色、旬の色、気になる色を取り上げてその効果を検証しています――

8月に行われた北京オリンピックはかなり盛り上がりましたね。 入場行進を見ていて選手の方が手を振るだけでなく、踊ったり携帯電話をしながら行進する国の方もいて面白 いなと思いました。そして各国の国旗の色使い、デザインも改めて興味深く感じました。 そこで今回は国旗の色を取り上げます。

@ 国旗の中で最も多く使われている色は何色だと思いますか?

答えは赤です。この赤が象徴するものは国によって全く違います。
日本の日の丸は太陽ですが、他国では血、共産主義、愛国心などがあります。
赤は人が生きるために重要な血液、太陽、炎の色であるため最も早く反応し、興奮状態に させる色です。誘目性が高いため旗を掲げたときに目立つという特徴もあります。

次に使われている色は白です。白は自由、純潔、平和などを表しています。
その次は緑、青。どちらも自然を意味する場合が多いのですが、憧れとして使う国と 恵まれていてシンボルとして使う国があります。


パキスタン・イスラム共和国、サウジアラビア王国など

パキスタンの国旗サウジの国旗

中華人民共和国、ベトナム社会主義共和国など

中国の国旗ベトナムの国旗

インド、スリランカ民主社会主義共和国など

インドの国旗スリランカの国旗

A 国旗の色は宗教、思想も表している

「緑」
イスラム教(イスラム教を起こしたマホメットのターバンの色が緑だったという説があります)

「赤」
共産主義(元々はフランス革命時に暴動鎮圧のための軍隊出動のサインに始まり、のち血を沸き立たせるような過激な革命のシンボルへと変容したと言います)

「サフラン」
ヒンズー教(ヒンズー教の人が神様に捧げるマリーゴールドというお花の色がサフラン色だったという説があります)






《check》
明るい色ほど大きく膨らんで見え(膨張色)、暗い色ほど小さく見える(収縮色)傾向がある。


《check》
トリコロールは配色法のひとつにも数えられ「トリコロール配色」とよば れる。3色使用するだけでなく色相やトーンの組み合わせに明快なコントラストをつけ ていることが特徴。

B 国旗に多いトリコロール

フランスの国旗トリコロール(3色配色)はヨーロッパの国旗によく見られますが、中でも最も有名なの はフランスの「青、白、赤」ではないでしょうか。
以前はこの3色の面積が同じように見 えるように3分の1づつではなく、青:白:赤の幅を37:30:33に変えていました。
同じ幅にすると青色が見た目に細くみえてしまいバランスが悪いのです。
(しかし、現在この比率は海上用のみで陸上用では同じ幅にしているそうです。)

ドイツの国旗イタリアの国旗 トリコロールの国旗はドイツ、イタリアなど多数の国で見られます。



←褪せてしまった色の方を採用するとは面白いですね。






《check》
黄と黒の配色は明度差も大きい上に生理的に人の目に飛び込みやす い。そのため踏み切りなどに使われ、世界的にも注意を呼びかけるため のサインの配色として利用されることが多い。


《check》
配色の一部にコントラストのある色を使い全体を引き締めたり、メリハリのあるはっきりとした印象 にするために用いるのがアクセントカラー

C いくつかの国旗をみてみましょう

カタールの国旗「カタール国」〜褪せた色を採用!〜
昔、旗を赤く染めるのに赤い野菜から抽出された染料を使っていました が、砂漠の太陽熱で褪せてしまい、その後そのまま褪せたえび茶を使う ことになりました。

ジャマイカの国旗「ジャマイカ」〜ご存知!ボルト選手の国〜
北京オリンピックで世界新を出したボルト選手がジャマイカですので この国旗に見覚えのある方も多いはずです。
黄と黄緑は色相が近い類似色相。明度の高い黄と明度の最も低い黒の配色でコントラストの強い配色です。

ジブチ共和国の国旗「ジブチ共和国」〜アクセントは赤い星〜
アフリカ東部の国。寒色の青、中性色の緑、無彩色の白の中に赤の星 この赤が暖色でアクセントカラーとなっています。


D 日本の国旗が表すものは?

日本の国旗太陽を図案化した日章旗は、通称「日の丸」と呼ばれ、古くから日いずる国のシンボル となっており、起源は8世紀のころからといわれています。

バンクラディッシュの国旗 パラオの国旗 また日本の国旗に似ているのがバングラディシュ人民共和国のもの(緑地に赤の円)。 制定する際に日の丸を一部参照したと伝えられています。他にも青地に黄の円のパラオ共和国があります。


〜 レポートのまとめ 〜

(*1) 革命や勝利などを意味したり、国民の意識の高揚をはかるためには強い色やコントラストが強い配色が必要になるのではないか?


(*2) 紫は高貴な色とされる一方で不安、不吉な色というイメージを持つ国も多い。また国旗に掲げるような象徴するものが紫にはない。 昔、紫の色はプルプラ貝や紫草の根から少量の染料を抽出して染める貴重な色だった。などが原因として考えられる。

・全体的に彩度の高い派手な色やコントラストの強い配色が多い。(*1)

・国を表す国旗に最も暗い色である黒はあまり使われていないのではないかと思った が、強さ、黒人、アフリカの大地などを象徴して多くの国で使われている。

・紫色を使う国がほとんど無い。(*2)
色相の基本となる「赤、黄、緑、青、紫」の5色の中で紫色だけほとんど使われていな い。

・戦争などを経て国旗が変化している国が多い。
日本の国旗は太古から変わらないが、世界では独立したり逆に支配されたりする歴史 の中で何度も変化した国も多い。




国旗をひもとけば、その国の歴史や大事にしているものなど様々なことが見えてきます。

 参考 「世界の国旗:新星出版社」「世界の国旗:新樹社」


2008.10.25 カラーウオッチャー 河北浩江

カラー戦略(カラーマーケティング)、ユニバーサルカラーのビジュアルカラー研究所(福岡)

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