●可動床のメリットと構造
    






プールの水位調整
そこで下記のメリットが充分にいかされることになる。



小学校プールでは低学年と高学年の体格差は大きく、手間の掛かる水深調整ではカリキュラム消化に支障をきたす等、教育現場でも頭を痛める問題も多い。また、障害者クラスでは水深の問題は健常児クラスに比べて更に深刻であり、短時間で水深を変更できる効果は大きい。
学校プールをはじめプールでの重大な事故は毎年多数発生している。
主なものは

シーズン中及びシーズンオフの溺れ事故

シーズン中の溺れ事故は体格や技量に合わない水深による指導も原因の1つであり、指導内容、対象に的確な水深を簡単に選択できれば、事故防止に有効である。また、シーズンオフの転落防止については可動床を水面近くに設定しておけば、万一の転落でも重大な事故につながることはない。
排水口に引き込まれる事故 可動床がプール底を覆うので、排水口に引き込まれる事故は未然に防止できる。
プール底に激突する事故 プール本体を深めに作っておけば、深い水深での飛び込み指導も可能になり、事故発生のリスクは大きく減少する。
時間帯に合わせて水深を調節すれば学校の授業時間と地域住民へのプール施設の開放の両立が実現しやすい。特に最近では全国的に高齢者のプール利用が多くなり、利用形態も泳ぐことよりウォーキング等の簡単な運動が目的となっている。この場合も可動床を備えていれば簡単に対応可能となる。また、可動床をプールサイドと同じレベルで固定し、その上に人工芝やマットを施すことでテニスコートやゲートボール場等の各種運動スペースになり、屋内プールであれば第2体育館やイベントホール等として利用できる。このように可動床を導入して多目的に活用すると学校施設でも地域財産となり、生涯学習施設として有効に活用することも可能となる。
年間を通じてプールの様々な利用形態が可能であり、地域解放の促進には非常に大きな効果をもたらすものと考えられる。また、利用時間終了後に可動床を水面まで上げておけば蓋代わりになり、夜間の放熱を防止し、その効果は25mプールの場合で重油代金に換算して年間300万程度のランニングコストの削減になる。さらに蓋代わりになることで水分や塩素の蒸発を防ぎ、壁や駆体の劣化防止に大きな貢献が期待できる。


可動床システムはプールの中にもう1枚の床を構成し、この床をボタン操作で昇降させることによって水深を調節するものであるが、この駆動方法は製造するメーカーによって多種の方式が存在する。

現在稼動している
システム

チェーンドライブ方式
シリンダー方式

 


可動床ではプール全面もしくは多くの部分を覆うものであるため、可動床下にゴミが沈殿し、不衛生になるのではないかとの疑念もあるが、可動床が最下限に下がった時にもプール底との間に若干の隙間があり、可動床上で水を激しく動かしてもプール底のゴミを巻き上げることはない。そこで、循環ろ過の吸い込み口をプール底に設置することで、沈殿したゴミはゆっくりと循環ろ過吸い込み口に引き寄せられるため、大きな汚れにはならない。そのためにも可動床下に循環ろ過を阻害する突起物のないシステムのほうが好ましい。そこで、年に何回かの水抜き清掃時に可動床上の点検口から可動床下に降り、ブラシその他の通常の清掃用具でプール底を清掃することで問題は起きていない。
また、可動床裏のぬめり等については条例の塩素濃度が満たされていれば、ぬめり等は発生せず、清掃時にホース等で水道水をかける程度で充分である。
屋外プールなどでは、シーズンオフにアオコや藻が発生し、プールの清掃の障害になるが、可動床を水面近くに固定しておくことで太陽光線を遮断し、光合成を阻害することで植物類の発生抑止効果がある。
可動床の機器類のメンテナンスについてはメーカー各社で独自システムを構築している。