新型インフル、「本格的な流行が始まった」―舛添厚労相
舛添要一厚生労働相は8月19日、記者会見を開き、新型インフルエンザに関して「本格的な流行が、既に始まったと考えていいと思う」との認識を示した。今後については、感染拡大の中心となった学校が再開する9月以降に「感染が急激に拡大する危険性がある」として、医療体制の整備を行う都道府県への財政的な支援や、医療機関への症例集の配布などを行う方針を示した。
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舛添厚労相は会見で、国立感染症研究所が公表した8月3−9日のインフルエンザ患者の定点医療機関当たりの報告数が、全国平均で「0.99」だったと紹介。これは新型と季節性を区別していないが、季節性の場合の全国的な流行の指標である「1.00」に相当する数字となった。
舛添厚労相は、「(インフルエンザ患者の)大部分は新型インフルエンザの患者だと考えられている」とした上で、「第1波の本格的な流行が、既に始まっていたと考えていいと思う」との認識を示した。真夏に感染が拡大したことについては、「現実に予想できていなかった」と述べ、「今までの(季節性)インフルエンザにない特性があるとすれば、この点ではないか」とした。
今後の見通しとしては、これまで集団感染は多くが学校で発生しているが、夏休み中であるにもかかわらず感染が拡大している現状を踏まえ、「9月に学校が再開された際には、感染が急激に拡大する危険性がある」と指摘。このまま感染が拡大すると、医療機関への負担が増大し、重症患者への対応に支障が出る恐れがあるとして、「患者数増加のピークをできるだけ低く抑え、急激な患者の増加を防止することが必要だ」とした。
その上で、6月19日に改定した運用指針に基づいた、患者の重症化防止を最優先とする医療体制の整備や予防接種対策などを、引き続き推進する方針を示した。集中治療室(ICU)や人工呼吸器などの医療設備については、「感染のピークを遅らせることで、準備する時間を稼ぐ」とした上で、「やはり現場が一番大切。それぞれの病院、地域によって特性があると思う。現場の意見を尊重して、基本的には都道府県単位で地方の医療体制を整備し、わたしたちはそれを財政的に支援していく」と述べた。また医療機関に対しては、「重症事例などを集めた症例集」を配布する方針を示した。
さらに、慢性呼吸器疾患や慢性心疾患などの基礎疾患を有する人、妊婦、乳幼児を「重症化するリスクが高いとされている」とした上で、早期受診、早期治療を心掛けるよう求めた。これらのハイリスク者に対しては、患者会などを通じた情報提供を強化するとした。
国民に対しては、「春から(5月の大型)連休のころは、うがいや手洗いを励行していた人も、余り気をつけなくなってきた。国民全体の慢心も、感染の拡大につながっている」と指摘。症状が出た場合のマスクの着用、外出の自粛、せきエチケットの徹底を呼び掛け、「“感染は自分が止めるんだ”という気持ちが一番大切なことなので、協力をお願いしたい」と述べた。
■ワクチン「法改正を待っていては対応できない」
舛添厚労相はワクチンについて、「これまでに3例、死者が出ているが、致死率が増えていくと、みなさんが早く打ちたい、となると思う」とした上で、「一般的には、予防接種のワクチンは副作用を伴う。今回のワクチンが(副作用を)伴うか、伴うとすればどのくらいの比率かは、まだ全く分かっていない」と指摘した。接種の優先順位については、20日と27日に検討会を公開で行うことを明らかにし、「予防接種を進めようとすると、法律を変えなければいけない。長期的には、感染症法や予防接種法を変える議論を国会の場でやらないといけないと思っているが、法改正を待っていては、目先の感染拡大に対応できない。法律のない形でどうリスクに対応するかは、非常に難しい判断。国民の皆さんに議論に参加していただきたい」と述べた。
更新:2009/08/19 16:05 キャリアブレイン
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