|
きょうの社説 2009年8月19日
◎北陸新幹線の認可 新潟説得は粘り強く続けよ
北陸新幹線長野−金沢(白山総合車両基地)の建築工事の認可をめぐり、新潟県が同意
に慎重な姿勢を崩さず、石川、富山、長野の3県が先行して国土交通省に同意する旨を回答した。関係県の足並みをそろえることができなかったのは残念と言うしかないが、認可の遅れの影響が金沢開業の時期にも及ぶといった最悪の事態を招かないために、これからも3県と福井県が連携して、新潟県に粘り強く同意を促していく必要がある。建築工事の認可については、北陸新幹線建設促進同盟会長の石井隆一富山県知事が、電 話で泉田裕彦新潟県知事に同意を要請。さらに、新潟県を除く北信越の4県議会も、帆苅謙治新潟県議会議長らを通じて泉田知事に同意を求めたにもかかわらず、首を縦に振らせることができなかった経緯があるものの、ここで説得をあきらめてしまうわけにはいかない。今後もあらゆるパイプを通じて、泉田知事に向けて4県の意思を発信し続けてもらいたい。 石井知事の働き掛けに対し、泉田知事は、新幹線建設費の一部を沿線自治体が負担する 制度自体に疑問を呈した上で、▽建設費の増加について納得できる十分な説明がない▽新潟県内の駅への全列車停車が担保されていない―ことなどを理由に、建築工事の認可に同意できないとした。地元負担金に関しては「関係県が一致して国交省に廃止を求めていくべき」との認識も示しているという。 泉田知事の「言い分」がまったく理解できないわけではない。たとえば、地元負担金は 、2014年度の金沢開業や今後の延伸に影響が生じないのであれば、どの県も廃止された方がいいに決まっている。ただ、そうした話し合いは同意した後でもできるのではないだろうか。 石井知事は、泉田知事との電話会談の中で関係県知事の協議の場を設けることを提案し 、了解を得たという。そうした場も活用して方針転換を迫ってほしい。とにかく、一度は新潟県も認めたはずの金沢開業の遅れにつながりかねない言動は、もうやめてもらわなければならない。
◎五輪にゴルフ 「スポーツ」の環境整備を
2016年夏季五輪の追加競技はゴルフとラグビー(7人制)に絞り込まれ、10月の
国際オリンピック委員会(IOC)総会で正式決定の見通しとなった。日本のメダル候補である野球やソフトボールが復活しなかったのは極めて残念だが、ゴ ルフやラグビー関係者にとっては東京が開催地に選ばれる可能性と合わせて夢が膨らむ朗報である。とりわけ、日本ゴルフ界が「娯楽から競技スポーツへの転換」に期待を込めるように、ゴルフにとって五輪はイメージを変える絶好の機会といえ、その仲間入りは他の競技以上に重要な意味を持つだろう。 日本女子プロゴルフ協会の樋口久子会長は今回の結果を受け、「ゴルフ場利用税」の撤 廃をめざす考えを示した。国家公務員倫理規程の禁止行為に含まれる「利害関係者とのゴルフ」の項目廃止と合わせ、税法や公務員規程の改正はゴルフ界の願いである。 「ぜいたくなレジャー」という一面的な見方が競技としての発展を妨げているとしたら 改善していく必要がある。9年後へ向け、人材育成の組織的な取り組みは急務であり、ジュニア世代強化やプレー人口拡大を含め、「競技スポーツ」にふさわしい環境を整えたい。 ゴルフは正式決定すれば、1904年セントルイス五輪以来112年ぶりとなる。タイ ガー・ウッズをはじめプロ選手の人気の高さや、テレビ、スポンサーの関心度など商業面での魅力も最終候補に残った大きな理由とみられる。 日本では男子の石川遼、女子の宮里藍ら若手の活躍が目覚ましく、人気も高まっている 。ゴルフファンだけでなく、世界中が注目する五輪で採用されれば「競技スポーツ」としての魅力が広く知れ渡り、後に続く世代の大きな励みとなろう。 実施方法は男女60人ずつで個人戦を行い、世界ランク15位までは自動的に参加資格 が与えられるルールが提案されている。世界の上位はレベルが高く、日本勢のメダル獲得は決して容易ではない。国際的にみて実力が高いとはいえないラグビーと合わせ、競技力向上へ一層の努力が求められる。
|