きょうのコラム「時鐘」 2009年8月19日

 顔を見れば分かるだろう、と不思議に思う。ヤンキースの松井秀喜選手が台湾出身の同僚と間違えられ、「長男誕生」と報じられた。2人ともチームの人気選手である

やはり、東洋人の顔は同じように見えるのだろうか。パリの街で、道を尋ねられたことがある。花の都を知る日本人と見られるのも悪くない、と思ったが、ガイドの見立ては「職探しに来たベトナム人と勘違いされた」だった

世界の留学生が集う「ジャパンテント」があす開幕する。取材に出向き、留学生と間違えられそうになった若い記者が何人もいた。タイやインドネシアなど、なぜか南の国の人に見られた。それで場が和み、取材がはかどったそうだから、好ましい勘違いもある

私たちの多くも、外国人を見て国を言い当てる自信はない。勘違いはお互いさま。顔形に始まって、よその国には知らないことの方が断然多いから、勘違いも生まれる。出会いがあれば、それが少しずつでも改まるだろうし、そうでなければ、誤解が続くかもしれない

国際交流は、なかなかに奥が深い。街が留学生を迎えるころ、そんなことをいつも思う。