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GDP:年率3.7%増 エコノミスト、慎重な見方多く 輸出、持続力弱く

 <世の中ナビ NEWS NAVIGATOR>

 09年4~6月期の実質経済成長率が3・7%(年率換算)と1年3カ月ぶりのプラス成長に転じた日本経済だが、先行きには慎重な見方が支配的だ。

 エコノミスト5人に今後の成長率の見通しを聞いたところ、いずれも09年度末にかけて徐々に息切れすると予測し、年度末には再びマイナス成長に転落すると見る人もいた。輸出依存が強い日本経済は、米国などの世界経済が回復しないと、本格的な回復は望めないとの見方が大勢だ。

 プラス成長をもたらした主因は輸出の回復と15兆円規模の経済対策だ。「国内ではエコカーやエコ家電の購入支援で耐久消費財の購入が伸びた」(BNPパリバ・河野龍太郎氏)

 しかし、2月を底に回復傾向にある輸出も、金融危機で減らしすぎた海外在庫を元の水準に積み増す一時的なもので、持続力は弱いとの見方が強い。四半期ごとの成長率の予測では、5人中3人が4~6月期の成長率が今年度のピークになると予測した。野村証券の木内登英氏は「来年前半まで景気は回復力が弱い踊り場状態が続く。輸出主導で本格的な回復が始まるのは来年夏場以降」と予測している。【斉藤望】

 ◇細川政権発足時と類似を指摘の声

 国内総生産(GDP)の実質成長率は年率換算で3・7%増の高いプラス成長となったが、市場では「歴史的な落ち込みの反動という要素も強い」とみられている。

 日本のGDPは、08年1~3月期の569兆円から1年間で8・3%も縮小した。今回はその減少分の約1割を取り戻したにすぎない。また、プラスの要因は輸出の好転と経済対策による押し上げ効果であり、「民需の自律回復には程遠い」(ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎主任研究員)のが現実といえる。

 回復の力強さに欠ける局面としては、93年6月に政府が「景気底入れ」を宣言したものの、その後、冷夏による消費不振と円高が重なり、10月に宣言の撤回に追い込まれたケースがある。同年は7月の衆院選の結果、非自民の細川政権が発足した。今年も冷夏の懸念があるうえ、18日には総選挙が公示される。市場関係者には93年との類似を指摘する声もある。【上田宏明】

毎日新聞 2009年8月18日 東京朝刊

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