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【産科医解体新書】(50)なぜ減った日本人論文数

2009.8.18 07:35

 医師の仕事の一つに、臨床で得た治療の成果や珍しい症例を論文にまとめて発表するという作業があります。こうした研究は臨床の合間にすることになります。世界のどの地域でも医師にはそういう役割が求められています。

 2003年から06年にかけ、臨床医学の論文数は世界的に7%増加しているというデータがあります。単に数が多ければよいものではありませんが、多ければ内容の優れた論文が発表される可能性も増えます。

 ところが、同じ期間の日本人の論文数を検証した人によると、増えているどころか10%ほど減少しているそうです。日本には医師が論文を書きたくても書けない、なんらかの原因が存在しているのかもしれません。

 日本では論文を“医師が偉くなるための手段”と思っている人も多いのですが、論文発表されることで、効果的な治療が臨床の場にフィードバックされ、日本の医療が発達する小さな礎になります。若い医師にとって、ベテラン医師の論文発表は臨床での生きた教材になります。

 一方、論文発表したことで同業者から厳しい指摘を受けることもあります。

 医学の発達はものすごい速さで進んでいます。昨日までよいとされた治療法が今日には効果に乏しいと判明することもあります。論文発表で世界との差が開いていけば、日本の医療は独自の道を進むしかなくなります。

 海外からおいてきぼりにならないために、医師は論文を書く努力を怠ってはいけないのだと思います。ぼくも論文を書くための努力をしていますが、なかなか難しいのが現状です。

 もちろん、「ブログや新聞に原稿を書く暇があったら論文を書け」という意見もあると思いますが、僕一人が論文をせっせと書いたから日本人の論文数が増えるわけではありません。

 日本の医師が他の国の医師と同様に論文を書くためには何が必要なのか、社会全体で考える必要もあると思うのです。(産科医・ブロガー 田村正明)

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