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きょうのコラム「時鐘」 2009年8月18日
9秒58の世界新記録には驚いた。まだ余力がありそうである。ボルト選手は、陸上100メートルの記録をどこまで縮め、何度賞金を手にするのだろう
日本記録は10秒00。とても歯が立たない。大男たちが軽く流す決勝前のレースで、またはね返された。迫力満点の競技だが、単純過ぎてつまらない。負け惜しみで、そう思う 以前に金沢学院大で講演したマイケル・ジョンソンさんも、「100はつまらない」と言った。アトランタ五輪で2つの金メダルをとった人で、400メートルの世界記録は今も破られていない。だから、負け惜しみではない。「あれは走るだけ。私が勝った200や400とは違う」 距離が延びると、レースの組み立てがいる。いつまで力をため、どこで一気に爆発させるか。相手との駆け引きも大事になる。「戦略がいるんだ。それが走る者も観衆も興奮させる」。胴長短足の名ランナーは、そう語った いよいよ総選挙の号砲が鳴る。レースに臨み、ふるさとの明日に向けた「戦略」が描かれているのかどうか。追い風や逆風の中、風にあおられるだけの争いでは、有権者は鼻白むだろう。 |