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第1章 簡単なこと

 

1-1 写真の読み方(写真とイラストはどこが違うか?)

1-1-1 <写真の内容>

それでは始めに、一枚の写真から考えてみましょう。写真は私たちに何を語りかけてくれるのでしょう?写真が何かメッセージを語るとしたら、それは、どういう仕組みで語るのでしょうか?

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ここに一枚の写真があります。この写真を例に、写真は何を語りかけてくれるのかを考えてみましょう。
<注: このへんの論は岡田晋「映像論」が参考になっています。>

 

渋谷の交差点の写真です。私が撮りました。

「渋谷の街は、おそらく日本一、いや、世界一、人混みの多いところなのではないか。」というのがこの写真の題です。

題の「渋谷の街は…」という短い文章と写真はイコールの関係です。写真は「渋谷の街は…」ということを表わし、「渋谷の街は…」という文章は写真を表わしています。

しかし、文章と写真は、ずいぶん、違うものですよね。

例えば「地球温暖化の原因の一部は、人間の吐く二酸化炭素である。」という説明が付いていたとしても、この写真は話が通ります。でも、当たり前ですが、「渋谷の街は…」という文章と「地球…」という文章はぜんぜん別の内容の話ですね。

つまり、ひとつの写真が2つの内容を持っていたということです。もちろん、さらに、もっと多くの意味をくみ取ることも可能です。

 

さらに、写真をよく見てみましょう。

人々のファッション、看板などの広告、信号機や歩道の様子など、詳しく探していくと、この写真の中にはいろいろなことがらが詰まっています。横断歩道の模様はけっこう汚れています。手前に写っている女性はひざの破れたジーンズをはいています。今は流行なので違和感はありませんが、10年もすると、こんな破れた服が流行ってたなぁと言うことになるかもしれません。

 

普通の何気ない写真であったとしても、ひとつの写真の中にはさまざまなことがらが写し込まれているのです。

 

普通の人にはただの影にしか見えない写真も、専門家が見ると重要な意味を持っている、ということも多々あります。

肺ガンのレントゲン写真や、軍事基地が写っている衛星写真などは専門家がみればたくさんの情報が詰まった写真なのです。

 

写真をどんどん拡大してみると、死体のような影が映っていたとか、そんな映画もありました。<注: M.アントニオーニの「欲望」>

 

ごく普通の家族の記念写真も、100年後、200年後には貴重な歴史の証言となるでしょう。そうなると、「この頃は子供は丸坊主だった」とか、「お父さんは帽子をかぶっている」とか、そういう文化史的な興味に目がいくことになり、この家族の記念写真を撮った人たちとは別の写真の見方をするということになります。

 

つまり、どんな写真にも、たくさんの意味、メッセージが詰まっているのです。見る人の見方次第でいろいろな意味、メッセージを拾い出すことが可能なのです。

1-1-2 <イラストと写真>

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