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【スポーツ】

美和「ヤッター」V 敗者復活から劇的

2009年8月17日 紙面から

初優勝を飾りガッツポーズで喜ぶ浅尾美和(右)、西堀健実組=神奈川県藤沢市の鵠沼海岸で(北村彰撮影)

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 気合の妖精がタイトルを奪取した。真夏の祭典ビーチバレージャパンは16日、神奈川県鵠沼海岸で最終日が行われ、女子は浅尾美和(23)と西堀健実(27)=エスワン=のペアが初優勝した。フルセットの激闘となった準決勝を制し、決勝は国内最強の浦田聖子(28)・楠原千秋(33)組と再戦。気迫のプレーで終始リードを奪い、21−18、21−18で快勝した。男子は朝日健太郎(33)・白鳥勝浩(32)組が4連覇した。

 妖精の執念がついに結実した。決勝のマッチポイント。西堀の技ありショットが決まった。昨年7月のジャパンレディース(全日本女子選手権)以来の優勝だ。「ヤッター!!」。声の出し過ぎでかすれた浅尾の絶叫がビーチに響いた。

 定位置だった“3位の壁”を越えた。「やっと、という感じ。今年初めて優勝できて、すごくうれしい。勝ちたいという気持ちで相手を上回ることができた」。“勝負弱い”という屈辱のレッテルを自力ではがした浅尾は誇らしげだった。

 コートの中には“鬼の妖精”がいた。「いつもはいい子いい子で試合をしていたけど、ガムシャラにやった」。今季ワールドツアーで好調の田中・鈴木組と対戦した準決勝は、苦手意識のあるフルセットを制した。2回戦で敗れた天敵ペアとの再戦となった決勝も気迫で圧倒した。泥臭く、砂にまみれた妖精は、表彰台の頂上で最高の輝きを放った。

 冬場にはサイパンや沖縄で過酷な合宿を積み、時には涙もこぼした。技術面もコンビの連係も格段の進歩を見せ、国内のJBVツアーでは開幕前から自他ともに認める本命の評価を受けた。しかし、ここ一番で自滅が続き、なかなか優勝には手が届かなかった。

 課題は明らかだった。精神面の強化。6月には滝修行を経験し、現在は専門家のメンタルチェックも受けている。何かを変えたい。その意識はコートを離れても同じだった。「(渡辺)コーチやタケさん(西堀)と何度も意見を衝突させた。お互いに厳しいことを言って、言われて。どっちもつらかった」

 長く、暗いトンネルを抜け、1年ぶりの国内制覇。浅尾は「これで勝ちグセをつけたい」と胸を張った。勝利が良薬となり、自信が満ちた。1年ぶりに浴びた光の先には、ロンドン五輪が待っている。 (井上学)

 

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