静岡新聞のニュースサイトへようこそ。本ページはスタイルシートとJavascriptを使用しています。
静岡新聞 > 特集一覧'09衆院選 しずおか連載・企画 > 婚活から政治を考える

ここから本文

婚活から政治を考える

(上)昇給見えず、教育費不安 

2009/08/14
 「今の給料でやっていけるか…。出会いがあれば結婚したい。でも、どうしても結婚したいわけでもない」
 8月初旬。牧之原市社会福祉協議会の結婚相談員を初めて訪ねた男性会社員(34)は、自嘲(じちょう)気味に語った。
 コンカツ―。若者の間で静かに進行している未婚化問題が「婚活=結婚活動」という言葉とともに顕在化した。衆院選の各政党マニフェスト(政権公約)に、「少子化対策」「子育て支援」の文字は躍るが、結婚には踏み込んでいない。
 男性はインターネットで9月に見合いパーティーを開く同社協の存在を知り、婚活を決意。女友達は結婚してしまい、同窓会も合コンも減って出会いの場がない。製造業の正社員。不況の直撃を受けて残業が減り、手取り月給は約20万円。ここから家賃5万円や食費、光熱費などを支出する。
 「1人なら10分。でも結婚したら教育費にお金がかかる。子供2人は欲しいけど、やっぱり1人かな。景気が上向けば残業で給料が増えるけど、今のまま妻子を養うなんて無理。非正規の方はもっと大変だと思う」
 「子育て支援を充実します」という政党の訴えはもやもやした心に響かない。
   ■   ■   
 県が今春行った少子化に関する県民意識調査で、独身者に独身の理由(複数回答)を聞くと、男性は5年前の調査に比べ変化が表れた。最も多い「適当な相手にまだ巡り合わない」が57%から46%に減る一方、「結婚資金の不足や結婚後の家計のやりくりが大変といった経済的理由」が22%から35%に増加し、新設の「仕事が安定していない(非正規雇用など)」は14・2%いた。
 景気の行方によっては経済的理由で結婚しない、結婚できない男性が増える可能性もある。
 婚活世代の多くは高度経済成長を歩んだ親の背中を見てきた。親世代は終身雇用制と年功序列の下、結婚、出産、子供の進学と連なるライフステージに賃金上昇カーブが比例した。その後、バブル経済崩壊。グローバル化が押し寄せ、小泉構造改革が登場した。終身雇用、年功序列は崩れ、非正規社員が増加。正社員には能力主義が導入され、賃金格差は広がった。昇給の保証はない。
 静岡経済研究所の中島寿志常務理事は「親より豊かな生活を送ることはできないかもしれない、という将来不安や閉塞(へいそく)感の中に若者はいる。政治は将来の日本の方向性を明示できていない」と指摘する。
   ■   ■
 同市社協が持つ結婚希望女性の登録票を閲覧していた男性会社員(42)はアパートを借りた最近まで両親と暮らし、結婚は先送りしてきた。婚活を始めたのは体調を崩した父親に「(社協に)行って来い」と促されたからという。
 「両親の介護を始めてつくづく思った。自分が独身のまま年老いた時、誰が自分を介護してくれるんだろうって。そう考えたら、不安になった」
     ◇
 「婚活」が熱い。政治から最も離れた世界のように見えるが、背景を探ると深い関係が浮かぶ。一生結婚しない男性が増える中、その思いを追った。

メール メールで記事を紹介 印刷 印刷する

 牧之原市社会福祉協議会が開いている結婚相談。地域の結婚相談員(奥)と婚活中の男性が話し合っている=牧之原市内



[特集]

関連ニュース・バックナンバー


バックナンバー

(下)出会い、雇用どう創出 2009/08/15  




静岡新聞購読のご案内

SBS動画ニュース

地震で浜岡原発停止の中部電力 39件の不具合、県に報告

静岡新聞社の本

県東部の老舗から新店まで、ドドンと239店収録の完全保存版。2年に1度の最新版は、職場に家・・・[記事全文]
日本が見える47NEWS
47CLUB

携帯サイト案内

手のひらに最新ニュースを。会員にはメールも配信。お得なグルメ情報も掲載!携帯サイト「静岡新聞SBS」
携帯サイトについて
携帯サイト静岡新聞・SBS
ページのトップへ