「ビーチバレージャパン最終日」(16日、神奈川県藤沢市鵠沼海岸)
浅尾美和(23)と西堀健実(27)=ともにエスワン=のペアが、大会初優勝した。準決勝で第2シードの鈴木洋美(30)、田中姿子(34)=ともにフリー=に、2-1で逆転勝ち。決勝は2回戦で敗れた第1シードの浦田聖子(28)=MDI、楠原千秋(33)=フリー=にストレート勝ちした。昨年7月の全日本女子選手権以来となる今季初タイトルを手にした。男子は朝日健太郎(33)=CHINTAI、白鳥勝浩(32)=湘南ベルマーレ=が4連覇を達成した。
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浅尾が笑った。西堀が泣いた。対照的な表情で、優勝を表現した。「必死にボールを追いかけた。相手の気持ちに負けないように強気にいった」。妖精は小麦色の顔に真っ白い歯を浮かべた。
準決勝の田中、鈴木組は今季2度、決勝の浦田、楠原組は3度対戦し、すべてフルセットの末に敗れていた。しかし、3位が定位置だったペアはこの日、両者を撃破してついに頂点に立った。「いつもなら準決勝で負けていた。1点1点気持ちでつないだ」と浅尾は喜んだ。
ようやくつかんだ今季初V。長かった勝ち切れない日々は、2人で納得するまで話し合った。技術面から精神面まで、時には「グサッとくる言葉もあった」(西堀)と振り返るほど本音をぶつけ合った。「そう言ってくれる人がいるって、幸せなこと。それでチームとして、強くなれた」(浅尾)。そして、きずなは深まった。
7月からはメンタルトレーナーのアドバイスを求めた。この日の試合前も所属の曽根社長を通じて、トレーナーの言葉を聞いた。曽根社長は「2人も性格は正反対。別々に1分ずつ話しました。効果はあったと思います」と明かした。
昨年の全日本女子選手権以来となるVだが、昨年は準決勝で五輪代表の佐伯、楠原組の棄権による不戦勝があってのもの。国内上位選手が出場した大会で初めての優勝に、西堀は「去年の優勝とは違う」と胸を張った。
次は、2連覇がかかる全日本女子選手権(20日開幕・大阪)で2週連続Vを目指す。浅尾は「勝ち癖を付けます。2週連続VとV2を目指します」。大きな壁を乗り越え、自信に満ちた目で宣言した。