エンターテインメント
- [←]前の記事
- 次の記事[→]
借り主女性社長の困惑
押尾学と「落日」ヒルズ
(AERA 2009年8月17日号掲載) 2009年8月14日(金)配信
もはや特別ではない
06年、ドラマで共演した女優の矢田亜希子との結婚で注目を集めたが、近年はヒット作には恵まれなかった。女性スキャンダルもあった。エイベックスと契約した時、彼はこうコメントを出した。
「思う存分、自分の可能性にチャレンジしたい」
女性社長が彼に手渡したのは、才能の扉を開けるためのキーだったのだろうか。
ヒルズのB棟は、オフィスタワーと道をはさんで南側に位置する。43階建て。四つある住宅棟の中でも、C棟と並ぶ高さだ。夜の12時頃、ビルを見上げた。灯りはまばらだ。
03年の開業以降、ヒルズは成功のシンボルだった。ゴールドマン・サックス、リーマン・ブラザーズ、ヤフーなどがこぞって居を構えた。隣接する住宅棟にもIT企業の社長などが住んだ。
しかし06年のライブドア事件以降、企業の退出が続いた。07年には、同じ六本木に東京ミッドタウンが開業し、賃貸専門の住宅棟が人気を集めた。近隣の不動産業者が言う。
「賃貸でハイクラスの物件を探す人には、ミッドタウンや白金高輪などに増えたマンションが人気。もはや六本木ヒルズは特別な物件ではない」
もともとB棟には、建設時に等価交換で入居した地権者も多い。部屋は賃貸に回し、自分たちは別に住むケースもある。現場の部屋の所有者も、都内に住む高齢の女性だった。
不動産会社の空き物件のデータを見ると、開発会社の森ビル自身が管理するC棟では坪単価3万円なのに対し、管理が委託されているB棟は近くの不動産屋によると、1万5000円から2万円だった。他の棟に比べて入居時の審査も厳格でなく、「また貸し」されていても、管理会社の目が届きにくい。
最上階にはパーティー用のスカイラウンジがあり、週末になると大勢の外部の人が出入りする。パーティーがある日には、5基あるエレベーターのうち、1基が43階直行になる。
バックナンバー記事
- 酒井法子「クスリの現場」 (AERA 2009年8月13日(木))
- 女の「選女眼」で女子を操縦する (AERA 2009年8月7日(金))
- 橋下知事へのジェラシー (AERA 2009年8月6日(木))
- 家出サイトで狙われる少女 (AERA 2009年7月31日(金))