無差別に技術をついばむ鳥

情報処理技術全般を気まぐれにつつくゆるいブログです

ネタつつき46−大人のオブジェクト指向論。再利用についての考察。

前回の反響を受けて今回はちょっとダークな側面からオブジェクト指向をつつきます。オブジェクト指向の最大の目的は再利用しやすいコンポーネントを作る事です。では再利用とは一体何なのでしょうか?意外とこの問題について踏み込んだ文献が見当たらないので私自身の経験と知識に基づいて書きます。
再利用が出来ると何がいいのでしょうか?それは経費が削減出来る事です。他にも芸術としての価値や、次世代の情報処理技術の発展などの効果もあるかもしれませんが、会社では経費削減がオブジェクト指向をする大きな動機となります。原価を出来るだけ抑えて、価値のある商品を売るのが商売です。ですから、この側面を無視する事は出来ません。
では、具体的にどの様にオブジェクト指向が経費に反映されるのでしょうか?それは、標準労務費=標準賃率×標準作業時間の経費を削減できるからです。例えば、100時間*2万円*10人=2000万円の経費をかけたオブジェクトがあるとします。このオブジェクトが提供する機能を作るのに標準的なプログラマが5人で20時間かかると仮定すると、このオブジェクトを1回再利用するごとに、20時間*2万円*5人=200万円の経費が削減できる事になります。このケースでは、5回以上再利用すれば初めに費やした経費は回収できます。しかもそのオブジェクトの価値が持続すれば、経費0円で利益を上げる夢の部品が手に入る事を意味します。
察しが言い方はもうお気付きだと思いますが、これは逆を言えば再利用できないオブジェクトは経費を生む事も示しています。また、現実はオブジェクトのリファクタリングが発生しますので、その経費もまた発生します。従って、出来の悪いオブジェクトは維持費が掛かる事も意味しています。
すなわち、利益を上げるためには価値のあるオブジェクトを如何に多くの回数使うかが重要だという結論になります。

この考えからオブジェクトの再利用についていて一つの課題が生じます。課題となるのは、価値あるオブジェクトを多くの回数を使うにはどうするべきなのかという事です。先ず第一に、ビジネス上の意味があるオブジェクトではなくてはりません。価値がないオブジェクトは先の述べた様に余計な経費を生むだけであり、再利用してはなりません。即ち再利用するだけの価値がオブジェクトには必要なのです。
第二に頻度が高いオブジェクトではなくてはなりません。いくら価値があるオブジェクトでも、100年に一回しか使われないオブジェクトであれば、余程価格を高く設定しないと経費が回収できません。それに、頻度が高いオブジェクトはある程度価値が低くとも、回数の多さで経費を削減する効果があります。

少し短いですが今回の記事はこれで終わりです。この記事を読めば、私が何故オブジェクト指向が三位一体と提唱しているのか分かると思います。趣味でオブジェクト指向している人はいいのですが、それで商売している人は一度考えてみる事をお勧めします。そうすればきっと、貴方の社員としての価値や管理者/経営者としての手腕が上がると思います。
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この記事のコメント

細かいことを言えば、オブジェクトひとつひとつの価値計算などあまりしないと思いますし、ひとつひとつで再利用できるオブジェクトというのはなかなか作りづらいものです。
その点は、いくつかのオブジェクトをひとまとめにして、コンポーネントという単位で価値を測ったり再利用したりすると思います。

> 先ず第一に、ビジネス上の意味があるオブジェクトではなくてはりません。
> 第二に頻度が高いオブジェクトではなくてはなりません。

この2つはある程度トレードオフの関係になります。
ビジネス上の意味を持ったオブジェクトは、異なるビジネスで再利用しづらいものです。
軽量でユーティリティ的なもののほうがずっと再利用しやすいでしょう。

> 貴方の社員としての価値や管理者/経営者としての手腕が上がると思います。

経営者もオブジェクト指向すべきなのですか?
2009-07-17 Fri 14:03 | URL | aetos #-[ 内容変更]
> 細かいことを言えば、オブジェクトひとつひとつの価値計算などあまりしないと思いますし、ひとつひとつで再利用できるオブジェクトというのはなかなか作りづらいものです。
> その点は、いくつかのオブジェクトをひとまとめにして、コンポーネントという単位で価値を測ったり再利用したりすると思います。
>
> > 先ず第一に、ビジネス上の意味があるオブジェクトではなくてはりません。
> > 第二に頻度が高いオブジェクトではなくてはなりません。
>
> この2つはある程度トレードオフの関係になります。
> ビジネス上の意味を持ったオブジェクトは、異なるビジネスで再利用しづらいものです。
> 軽量でユーティリティ的なもののほうがずっと再利用しやすいでしょう。
>

それを踏まえて「自社の状況を考えたオブジェクト指向」を私は言っています。
あまりやらない一回きりのビジネスのために、開発者が長時間かけてオブジェクトを作る事が正しいとはいえないという事です。

> > 貴方の社員としての価値や管理者/経営者としての手腕が上がると思います。
>
> 経営者もオブジェクト指向すべきなのですか?

そうです。
自社の既存資産を把握しないで経営するというのは、経営者として如何なものかと思います。
経営者が何も考えずに、行き当たりばったりで仕事をしているとオブジェクト指向は何の役にも立ちません。
日本には「経営者は技術を知らなくてもいい」という風潮がありますが、自社が売っている製品や、自社が持っている強みなどを分からないのでは、まともな経営なんてしていないと思います。
2009-07-17 Fri 18:54 | URL | インドリ #-[ 内容変更]
時給2万円か。
良い仕事だな。
2009-07-17 Fri 21:36 | URL | あるまじろ #ykf0353g[ 内容変更]
> 時給2万円か。
> 良い仕事だな。

うん♪
2009-07-18 Sat 07:26 | URL | インドリ #-[ 内容変更]
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