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てれこむ What's up?
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 [2008年2月 感情認識技術 「てれこむWhat's up」では身近な話題から海外の情報まで、テレビ・新聞・雑誌をにぎわすテレコミュニケーションの「ハテナ?」にお答えします。]

人間の感情を読み取る技術

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[笑顔でチーズ]泣いたり、笑ったり、怒ったり・・・私たち人間には感情があり、いろいろな形でそれらを表現しています。人と人とがコミュニケーションを図る場合においても、単に言葉の意味だけを理解するのではなく、相手の感情を読み取って理解してあげることは、とても重要なことですよね。

そんな人の感情を、感情を持たないコンピュータに理解させようとしている・・・そんなSFチックな話が、「感情認識技術」の発達と共に現実味を帯びてきています。「感情認識技術」とは、コンピュータに人間の言葉や表情などを読み取らせ、その特徴から現在の感情がどの状態にあるかを推定して認識させようとする技術で、研究・開発が進められています。
今回は、そんな感情を読み取る技術について取り上げます。

あなたの笑顔は何パーセント?

 はじめに、”表情”から人間の感情を読み取る技術をご紹介しましょう。

 オムロン株式会社が開発した「リアルタイム笑顔度測定技術」は、その名前が示すとおり、人の顔画像から”笑顔度”を測定するものです。しかも、単に笑っているかどうかを判定するだけでなく、笑顔の度合いを0〜100%の間で数値化して測定してしまうことも可能なのです。

 仕組みとしては、人間が他人の顔を見て”笑顔”だと認識する表情変化の特徴や顔のしわなど顔全体の様子を捉え、それらの変化の状態を最新の統計的識別手法を使って、総合的に解析することで笑顔度を割り出していきます。

[笑顔の特徴を捉えて笑顔度数を解析]

 このような”笑顔”を読み取る技術は、多方面での活用が考えられます。既に商品化されているものでは、被写体の笑顔を検出して自動的にシャッターを切るデジタルカメラがあります。これならプロのカメラマンでなくとも、例えば赤ちゃんや子ども達の可愛らしい笑顔を簡単に、より自然な感じで撮影できますね。

[笑顔以外の表情を認識した場合の活用例]  反対に、”笑顔が命”のモデルや接客の仕事をされている方々にとっては、ご自身の笑顔度チェックに活用できるかもしれません。さらに、お笑い芸人がネタを披露した際、”受け具合”が観客の笑顔度で測定されてしまうという、恐怖のテレビ番組なんかも始まってしまうかも!?

 今後は、笑顔以外の表情も認識することが期待されています。たとえば疲労や苦痛を読み取ることにより、自動車の居眠り運転防止や、入院患者の病状の急変をモニタリングする・・・といったものが考えられています。

声から分かる喜・怒・哀・楽

 顔の表情と共に感情が表面に現れやすいのは、“声”ですよね。
次にご紹介するのは、人間の音声情報を入力することで、喜怒哀楽を認識しようという技術です。

[人間の声から喜び、怒り、哀しみ、平常、興奮、笑いの6種類の感情を同時に認識] 日本SGI株式会社と株式会社エイ・ジー・アイが共同開発している感性制御技術「ST(Sensibility Technology)」は、人間の声から、コンピュータに人間の感情を認識させ、どのような状況でそのような感情を引き起こすかといった人間のクセや感性を理解し、反映させる技術です。

 この技術を使うと、人間の声から「喜び」「怒り」「哀しみ」「平常」「興奮」「笑い」の6種類の感情を同時に認識し、人と同程度の認識が可能となります。さらに、それぞれの感情は10段階の強弱レベルで検出することも可能となっています。これにより「非常に怒っている」「ちょっと怒っている」という微妙な感情や、変化を読み取ることもできてしまうのです。

 実際にこの技術を活用した商品が既に存在しています。そのひとつが、”世界初の声から感情を読み取るゲームソフト”として発売された、ニンテンドーDS用ソフト「音声感情測定器 ココロスキャン」(セガ株式会社)です。
このソフトでは、ニンテンドーDSに内蔵されているマイクから音声を入力して感情を判定します。ゲームというよりツールとしての性格が強いので、工夫次第でいろいろな遊びが楽しめそうです。

 例えば、『その場の空気測定器』で飲み会の盛り上がり度を確認したり、友達同士で『スキスキ測定器』を使ってクラスや会社の異性で誰が気になっているか?を測定したりすると、盛り上がるかもしれませんね。
「音声感情測定器 ココロスキャン」にはこのほかにも、心の健康状態などがチェックできる診断ゲーム、さらにはあなたの「怒り」を攻撃力に変換して戦うゲームなども用意されています。

[「音声感情測定器 ココロスキャン」例]

 今後の応用分野としては、コールセンターに導入することでオペレータが電話相手の感情を読み取る手段として活用したり、室内の音声を分析することで照明やアロマなどで雰囲気にあった空間演出を行って”心地よさ”を提供したり、病院などのカウンセリングにおいて言葉だけでなく、その裏に隠れている相手の感情を知ることで、アドバイスや治療に役立てるなどが考えられています。

声から感情を読み取るプロセス

人間の発する音声、具体的には情動(感性制御技術では生理反応で確認できる感情の素と定義)をつかさどる脳と、自律神経で直結している声帯の状態や音律をパラメータ化します。その音声パラメータを元に、人がどのように感じたか?という実験結果を反映させて作成したプログラムを用いて、声から感情を推定しています。

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*文中太字は用語解説あり

情報提供 (株)情報通信総合研究所 安藤雅彦

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