厚生年金記録の改ざん問題で、社会保険庁は31日、年金保険料の算定基準となる標準報酬月額を実際より引き下げる改ざんをしていたとして、東京都内の社会保険事務所の元徴収係長を戒告の懲戒処分にしたと発表した。社保庁が職員による改ざんを認めている唯一のケースで、改ざんによる懲戒処分は初。
元係長は「保険料の滞納事業所を減らしたかった。他の職員も同じ扱いをしていた。滞納保険料が何とかならないか事業主に懇願されたこともある」と説明しているという。
社保庁はこのほか、元係長の指示で改ざんにかかわった当時の部下の元係員を厳重注意処分とする一方、元係長の当時の上司の関与は確認できないとした。
社保庁などによると元係長は麹町社会保険事務所に勤務していた95年秋、保険料2カ月分約230万円を滞納した千代田区内の会社について、社長1人の報酬を1年以上さかのぼり、93万円から当時の最低に近いランクの11万円に引き下げる書類を作成。社長に説明して押印させ、処理した。
この後勤務した府中社保事務所でも、別の1社の標準報酬月額を引き下げた書類を事業主に提出させて処理。さらに別の2社については、元係員が元係長に相談し、こうした書類を作成していた。
一方、職員が給与を得ながら無届けで組合活動に従事するヤミ専従について、新たに3人が判明。退職者を除く2人を減給10分の2、2カ月の懲戒処分とした。3人にはヤミ専従期間の給与約5600万円の返納を求める方針。【野倉恵】
毎日新聞 2009年8月1日 東京朝刊