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中学副校長が覚醒剤逮捕…「出会い系」で知り合った27歳年下の男との“密接関係”

8月16日9時46分配信 産経新聞

中学副校長が覚醒剤逮捕…「出会い系」で知り合った27歳年下の男との“密接関係”
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送検される高橋三郎副校長=7月22日、高津署(大渡美咲撮影)(写真:産経新聞)
 東京都練馬区立中学校の副校長が7月、覚醒剤(かくせいざい)を所持していた容疑で、神奈川県警に逮捕された。それだけでも、学校関係者や生徒には大きな衝撃なのに、あろうことかこの副校長、出会い系サイトで知り合った27も歳下の男と、薬物を楽しむ「密接な関係」を続けていたことが県警の捜査で判明した。覚醒剤を使用し続けた“聖職者の素顔”を追った。

 ■「まさか…」 逮捕を知らせた突然の電話

 夏休みに入ったばかりの7月21日。

 午前11時20分ごろ、都内のグラウンドで、野球部の練習試合を見ていた区立光が丘第2中学校の坂井晃校長の携帯電話が鳴った。電話に出ると、相手は「神奈川県警高津署」と名乗った。

 「副校長が覚醒剤の所持で逮捕されました」

 「まさか…」

 坂井校長は信じられなかった。だが、逮捕は事実だった。覚せい剤取締法違反罪で起訴されたのは同中学副校長の高橋三郎被告(53)。高橋被告はこの日朝、東京都中野区南台の自宅マンションを高津署員に家宅捜索され、覚醒剤を押収された。

 高津署関係者は、勤務先の学校に連絡したが、校長が外出中だったため、携帯電話の番号を聞き出し、かけてきたのだった。

 署関係者は詳しい事件の内容は教えず、「これから記者発表します。学校も混乱するかもしれませんので、事前にお伝えしておきます」と言って、電話を切ったという。

 4月に世田谷区の中学校から赴任してきたばかりの高橋被告は、校長を補佐して、校内の事務を調整するいわば「ナンバー2」。学校でも明るく活発で、女子バレー部の顧問を務めていたほか、朝の登校時間帯には校門の前に立って生徒にあいさつしたり、声をかけたりすることもあった。

 勤務態度に問題はなく、生徒や保護者にも悪い評判はなかった。

 「なぜ彼が…」。坂井校長は事情が飲み込めなかった。つい4日前、全校集会で生徒たちに夏休みの生活について「薬物など誘惑に負けずに頑張ってください」と注意したばかりだった。その場にも副校長の高橋被告はいたのに…。「誘惑に負けていたのは、教師の方だったのか。皮肉なものだ」。坂井校長は肩を落とした。

 ■捜索受け観念? 自ら差し出し、逮捕される

 7月21日早朝、マンションの自宅に高津署の捜査員が踏み込んだ際、高橋被告は夏用のスーツを着て、出勤準備をしている途中だった。捜査員が、覚せい剤取締法違反容疑の家宅捜索令状を示すと、高橋被告は一瞬、驚いた様子を見せたが、観念したのか、すぐに自ら台所の棚に隠していたポリ袋入りの覚醒剤約0・2グラムを捜査員に差し出したという。事情聴取にも抵抗することもなく淡々と応じ、その場で覚せい剤取締法違反(所持)の現行犯で逮捕された。

 高津署は事前に、高橋被告が覚醒剤を所持しているのではないかという情報を入手し、ひそかに捜査を進め、捜索令状をとっていたのだった。

 高津署によると、独身で、自宅マンションに1人で暮らしていた高橋被告は調べに対し、「仕事のストレスがあり、3年前くらいからやっていた」と覚醒剤の使用も認めていたが、持っていた覚醒剤については「仲間から預かっていたものだ」と供述した。

 ■突然、自ら出頭してきた“相棒”

 高津署は当初、この供述を基に、覚醒剤の入手先などを捜査していたが、翌7月22日午後になって、事態は予想外の展開を見せた。

 「(高橋被告と)一緒に覚醒剤を使用していました」

 高津署に出頭してきたのは、派遣社員、山本俊介被告(26)。山本被告は派遣先の共同通信の上司に付き添われて署を訪れた。

 捜査線上にその名前すら浮かんでいなかった山本被告。同署によると、調べに対し、「高橋被告だけ捕まるのは悪いと思った」と供述したという。

 高橋被告に対する強い“情”が感じられる供述だった。

 ■男性専門出会い系サイトで知り合った2人

 「高橋被告に対し、愛情というか何というのか…。ただのシャブ(覚醒剤を意味する隠語)仲間以上の関係があったから出頭してきたのではないか」

 ある捜査幹部がこう話す。

 2人が知り合ったのは「ゲイバイ出会い」と掲げられたインターネットのサイト。鍛え上げられた上半身を写した男性の写真の脇には「彼氏募集中」の文字が躍る。2人は今年4月にこの男性専門の出会い系サイトで知り合ったという。

 同署によると、山本被告も高橋被告と同じく独身。調べに対して「女性には興味がない」と話しているという。

 捜査関係者は「出会い系サイトで知り合った2人は、連絡を取ってすぐに会い、お互いシャブをやっているということから意気投合したようだ」との見方を示した。

 同署によると、2人の腕には複数の注射跡があり、山本被告は「(逮捕の)数日前にも2人で覚醒剤を使用した」と供述しているという。

 ■「もう2度と学校に立ち入ってほしくない」

 高橋被告は覚醒剤を始めた理由について「仕事にストレスを感じた」と供述した。しかし、学校関係者は一様に首をひねる。

 以前勤務していた世田谷区立中学の元上司は「確かに副校長という仕事は大変。校長の補佐役に加え、保護者や地域住民との関係にも目を配らなければならず、大変なことは多いが、だからといって、それは誰しもあること」と話す。

 高津署によると、高橋被告は、覚醒剤の入手方法などについて口を閉ざしており、詳しいことは分からないが、ある捜査関係者は「ストレスはあったかもしれないが、結局は誘惑に負けて、楽しむために使用していたのだろう」と分析した。

 警察庁などによると、覚醒剤事件での摘発人数は平成19年で1万2211人。そのうち2・5%は未成年者で、青少年に対して覚醒剤など薬物に近寄らせないことは教育現場の重要な課題の一つだ。それだけに、子供たちの模範となるべき教師が、薬物に手を伸ばしていたことを知った学校関係者の憤りは大きかった。

 「もう2度と学校に立ち入ってもらいたくない」

 光が丘第2中学の坂井校長は、こう怒りをあらわにする。以前勤務していた世田谷区の中学の元上司は「そもそも、生徒に『出会い系サイト』は利用しないようにと指導しているのに、その教育現場に立つものがやっていたとは…」と、半ばあきれ顔で話す。

 「教育者」と、「出会い系サイト、覚醒剤の常習者」という2つの顔を使い分けていた高橋被告。今後、覚せい剤取締法違反罪で公判に立つことになるが、それ以前に、教育者として生徒たちを裏切った罪はあまりに大きい。

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最終更新:8月16日9時46分

産経新聞

 

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