女性だけの世界

催眠術の力が溜まった……ボクは………

”女性だけ”の世界を作る!

数ヶ月後……

街には女子小学生、女子中学生、女子高生、女子etc、
どこを見ても可愛い女性ばかり。

法律も即効で変わって同姓結婚がありになったし、女性しかいないからあたりまえだけど。
そのかわり赤ちゃんができるのは赤ちゃんを受精する方と、受精させる方のカップルでないと駄目だけどね。

街もずいぶん変わったな男性物の店が全部女性物に変わった。

ランジェリーショップとかネイルショップとかはすごい人気だな。
特にパッド入りブラがすごい売れているし。

まあ、圧倒的に胸がない女性の方が多いからだけど。

でも、何人かはまだ女性の癖に男物の服を着る子がいるんだよね。
学校でも学ランとか着てきてさ、まぁそれはその子の服の好みだからね。
いわゆるオールドファッションっていうやつ? あるいはコスプレ?
いずれ学校でも女性は女性の制服を着用することにすれば問題なし。

そういうわけで世界は女性だけしかいないパラダイスなのである!

-シュウ-

なんだ世界はどうなっちまったんだ?
俺は病院でしばらく意識不明で三ヶ月間入院していて、意識が回復して退院したら世界は女性ばかりになっていたんだ。
俺は親父と二人ぐらしだった。
けど退院の手続きをしてくれたのが知らない女性だった。
女性は俺の親と名乗った……んなバカな?
けど質問にはすらすら答えるし……嘘はついてなさそうだし……

/1/

「おはようシュウ!」
「ああ、おはよう……って誰?」

俺は肩を叩かれて後ろを振り向いたら知らない女生徒だった。
どこかで聞いた事ある声だと思ったんだけど。

「私、如月チヅだよ、クラスメイトの顔も忘れたの?」
「チヅ、シュウは三ヶ月間も入院してたんだよ、少し記憶が混乱してるんだよ。」
「ごめん、ごめん、シュウが意識不明で入院してたの忘れてた。」

チヅという子の隣には、また知らない子がいた。

「それでさ私の事は覚えてるシュウ?」
「ごめん……」

俺は正直に謝った。
正直二人目の女生徒も俺の記憶にはいない子だった。

「残念だったねミキ〜あんたのこと覚えてないってさ!」
「うるさいチヅ!……あっ、シュウ、私は浅木ミキだよ。」

「それでさ、シュウ、なんで、そんな制服を着てるの?」
「?」

/2/

ひさしぶりの学校だけど、女子ばっかりだな……こんなにこの学校って女子いたっけ?
というか今日一人でも男子生徒見かけたっけか?

「あっ、俺トイレ」
「じゃあ、私たち先に教室いってるね。」
「教室は覚えてるだろ?」

「1−Aだろ、それぐらい覚えてるよ。」
「私たちのことは忘れてたくせに。」

そして、俺は男子トイレに入ったんだ。確認するまでもない……確実に男子トイレのはずだった。

「うわぁ! ご、ごめん……間違えました……って……えっ?」
「どうかしたの海藤さん?」
「えっ!? と、藤堂さん? ど、どうして男子トイレに?」
「どうしてって、ここはトイレよ? トイレに用があるからいるのよ。 変な海藤さん。」
「た、確かにトイレだけど………」
「あっ! 少し跳ねちゃった……私ってやっぱり立ってするの苦手かな……なんだか未だになれない……」

俺の目の前であの憧れの藤堂ユキコさんが男子トイレで立ちションをしている……どうなっているんだ……


俺は藤堂さんと一緒に教室に入るとそこはまたビックリ、
全員女の子!?
えっ!? 男子は?
俺は事故のせいで入学して1週間通った後入院したけど、たしかそのときは男子はいたはずなのに。

俺はわけがわからず朝のホームルームを迎えた。

/3/

「はい、転校生を紹介します。 自己紹介してくれますか?」
「ボク、一ノ瀬優っていいます。 気軽にユウちゃんって呼んでね。」

「では彼女への質問は休み時間のときにでも聞いてください。 では一ノ瀬さんは海道さんの隣へ」
「えっ? 俺の隣?」

「よろしくね……えっと海藤──」
「シュウだよ海藤シュウ、こちらこそ一ノ瀬さん。」

「それでさ、シュウちゃんってどうしてそんな服を着てるの?」
「?」

朝、如月さんや浅木さんに言われたことをまた一ノ瀬に聞かれるなんて、そんなにこの服変かな?

「う〜ん、この服っておかしいかな……男が学生服を着るのって……」
「えっ……お、男………だ、誰が………」
「だから俺が男だって……」

「!?」

「あれ、大丈夫一ノ瀬さん顔色が悪いよ? 俺なんか変なこといった?」
「………………」

その後、一ノ瀬さんは一時間目の授業中はなんだか上の空で
休み時間になるとすぐ教室を出ていき2時間目の授業を欠席した。



/4/

そんなボクの催眠が効いてなく、完璧に自分が男として自覚があるなんて……
でも、ちゃんと自分以外は女性としての認識をしているみたい……

あいつ一人の為に一度、催眠状態解くなんてできない……
全世界の住人に催眠をかけるのにどれほどのパワーが必要だったか……維持だけで精一杯。
もう一度かけるとなると10年先になる。
これを維持しているために他の催眠術なんて使えないし……このまま行くしかない……
けど、あいつの不必要な発言がきっかけでボクの催眠に揺らぎがでるかもしれない……

しばらくの間、あいつの傍で監視する必要があるかも……
それには……やっぱり……あれしかないよね………

/5/

「あっ、一ノ瀬さんどこに行ってたの、みんな心配してたよ。」
「ごめんね、ちょっと……具合悪くなっちゃって保健室に……」
「まあそうだよね、転校したばっかでなれないところだと緊張するもんね。」
「うん、それでね、ボク、シュウちゃんに一目惚れしちゃった……ボクをシュウちゃんの彼女にして?」

「………………」
「………………」

「えっ? 今、なんて?」

「もう、ボクをシュウちゃんの彼女にしてっていったの!」

いきなりの告白。
こんな可愛い子に一目惚れされるなんて……

「う、うぁ、ぇえっと……あぁ……かぁはぁ………」

駄目だ声がでない……いきなりのことで動転している……

「シュウちゃん…ダメ?」

「ぅ、うん、はい……俺で、よ、よければぜひ一ノ瀬さんの彼氏に!」
「じゃあ、ボクはシュウちゃんの彼女だね。」

夢みたいだ……今まで彼女というか、好きな子に告白することさえできなかった俺に……

「あと、それからもうボクはシュウちゃんの彼女なんだからちゃんとユウって呼んでね。」
「うん、わかったよ、ゆ、ユウちゃん。」

女の子を名前で呼んだことなんて一度もないよ!!
その初めてが初めてできた彼女だなんて……最高だ!!

この、いきなり信じられないことの連続。
正に事実は小説より奇なりだ!!

三ヶ月間の眠りから覚めたら周りが全員女の子で、それにとびきりの美少女転校生に告白される。

なんだこの夢にまでみたラブコメ展開!

夢なら覚めないでくれ!!

(終)

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