2009年02月27日

日経エコロジーリポート

インサイドアウト 地熱発電と温泉は共存できるか

草津町と嬬恋村が衝突 温泉保護と財政難で主張は対立

文/山根小雪(日経エコロジー)

名湯の草津温泉が隣接する嬬恋村の地熱発電所建設に猛反対している。
温泉への理解と科学的な裏付け、政策支援で共存共栄の道を探るべきだ。


 「地熱発電は温泉地を消滅させてまでやるほどのものですか。日本最大の八丁原地熱発電所(大分県九重町)ですらたかだか11万kW。たったそれだけの電気のために、万が一、草津温泉をダメにしたら誰が保障してくれるんですか」─。

 群馬県草津町の黒岩信忠町議会議長は、穏やかな口調ながらも一歩も譲らないとの決意をにじませる。

 井戸を掘らず自然にわき出す温泉として日本一の湧出量を誇る群馬県草津温泉。湯治場としての歴史は古く、鎌倉時代に源頼朝が、江戸時代には8代将軍徳川吉宗が好んだといわれる。湧出量のほか、国内屈指の強酸性の泉質が、毎年300万人の観光客を呼び寄せる。名実ともに日本を代表する温泉地の一つである。

 その草津町が、隣接する群馬県嬬恋村の地熱発電所建設計画に猛反対している。反対運動の急先鋒である黒岩議長は、語気を強めて続けた。「地熱発電所で湯量が減ったり温度が下がった温泉をこの目で見ました。絶対に認められない」

草津町の温泉街の中央に位置する源泉「湯畑」。 温泉が噴き出し、周囲を蒸気が包み込む様子が、多くの観光客を惹き付けている
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