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社説
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2009年8月16日

児童ポルノ/処罰法の改正急ぎ増加阻止を

 今年上半期の児童ポルノ犯罪が急増していることが、このほど警察庁のまとめで明らかとなった。これまで最多だった昨年上半期の数値を上回っており、年間でも昨年を超えることは確実と言える。

罪に問われぬ単純所持

 わが国では、児童買春・ポルノ処罰法の制定が、諸外国に比べて遅く、1999年にようやく国会で可決された。それも、「日本は児童ポルノ大国」という批判を国際会議で受け、重い腰を上げて成立したものだ。

 その後、18歳未満(児童)のわいせつ画像などの製作、販売を禁じた同法は2004年に一度改正され、罰則の強化と規制範囲の拡大が図られた。

 しかし、規制範囲が拡大したためか、05年には、児童ポルノ事件の摘発件数が前年の177件から一気に470件に、被害児童数は82人から246人と跳ね上がった。以降、摘発件数、被害児童数の増加傾向は変わらない。この法改正では不十分だったことが分かる。

 わが国の処罰法は、児童ポルノ画像の「単純所持」は罪に問われず、児童ポルノの製作、販売だけが処罰対象になる。だが、単純所持を合法としているのは、主要8カ国(G8)の中では日本とロシアだけである。

 その種の画像を受け取ることになるウイルス・メールを不用意にクリックし、単純所持する状態になるなど、本人の意図に反して、処罰されるケースになることも予想される。こうした冤罪を懸念して、単純所持を処罰対象に含めないという議論もある。

 だが、そういう特殊なケースを恐れて、児童ポルノの温床とも言える単純所持を野放しにしておく限り、増加傾向にある現状を抜本的に改善することはできないだろう。

 さらに、わが国では、アニメによる児童ポルノまがいの雑誌が、コンビニエンスストアなどで、次から次へと陳列され売られている。雑誌の表紙に、性的に興奮したあられもない姿の少女を描き、成人男性らの購買意欲をそそっている。

 漫画による児童ポルノをも規制対象にすることは、「表現の自由」に抵触するとして反対する勢力がある。だが、人目に触れる場所に、堂々とそうした雑誌を置くこと自体が先進諸国の感覚からすれば異常である。

 米国でもポルノ雑誌は、子供の手の届かない高い位置に、表紙は見せないようにしてひそかに置かれている形が多い。児童ポルノまがいの絵を表紙でアピールして販売している状況は、恥ずべきことである。表現の自由の名の下に、児童ポルノを容認するかのような漫画を野放しにしてよいはずがない。

 先の国会では、処罰規定に単純所持も含めるかどうかの議論と法改正案が検討されていたが、衆院の解散により流れてしまった。

次期国会の対応が急務

 性に関する画像を大人の商売の道具として使われ、一生取り返しの付かない傷を負う子供たちがいる。子供をそうした魔の手から守るために、次期国会では、早急に単純所持も罰則対象とする処罰法の改正を行うべきである。


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