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ブロードバンド空白地域、来年中にも解消

2009年8月15日3時1分

図:  拡大  

 10年中にもブロードバンド(高速大容量通信)が使えない地域が国内から消える見通しとなった。「10年度末まで」としていた政府計画が半年以上前倒しになる可能性がある。総務省の支援を受けて、市町村が光ファイバー網などを整備する。運営は民間事業者に任せる「公設民営方式」で、約340の市町村が事業化を検討している。

 ブロードバンドが未整備の世帯は全国で約64万世帯(3月末)。過疎地や山間部、離島など利用者が少ない地域では採算性が低いため、NTTや電力会社などの民間通信事業者は消極的だ。このため、市町村が国の交付金を活用して初期投資を負担する。約340市町村の計画が順調に進めば、新たに約34万世帯が使えるようになる見込み。残る約30万世帯は民間通信業者による計画が固まっている。

 公設民営方式では、市町村の負担で通信設備やケーブルを設置、入札で選ばれた民間業者が施設利用料を支払って住民にサービスを提供する。住民が支払う利用料は都市部と同程度だという。

 5月に増額されたデジタルデバイド(情報格差)解消のための国の交付金と、追加経済対策に盛り込まれた「地域活性化・公共投資臨時交付金」を使うことで、市町村の負担は事業費の約1割ですむ計算だ。これまでも市町村がブロードバンド整備に使える交付金はあったが、原則、3分の2程度を負担する必要があった。

 総務省の事前調査では、約340の市町村が事業化に意欲を示した。9月にも正式に申請を受け付け、交付金を出す方針。市町村は10年中には施設を整備し終える。

 事業総額は2300億円を超える見通し。ブロードバンド整備の遅れは、遠隔医療や教育、企業立地にも影響を与える。このため総務省は、国費投入による整備が欠かせないと判断した。ただ、設備の保守・管理費用は市町村側の負担となる。住民の納得が得られるようなサービスが求められる。

 総務省のまとめ(昨年9月末時点)では、都道府県別のブロードバンド整備率(世帯カバー率)は、神奈川や三重などが100%に達する一方、鹿児島や高知などは90%台前半にとどまっている。

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