きょうのコラム「時鐘」 2009年8月16日

 どの世界にもプロがいる。中にはカリスマと呼ばれる働きをする者もいる。以前、山形新幹線にいる「カリスマ販売員」と呼ばれる29歳の女性の記事があった

1日の売り上げが普通の2、3倍になる50万円の新記録を達成したという。取材した山形の記者にその「技」を詳しく聞いた。まず一周目は下見でどんな乗客がいるかつかむ。客と目があうようにゆっくりとワゴンを引っ張る

子どもの多い時は目線を低くし、お菓子やジュースを低い位置に移しかえる。釣り銭を予測して時間を縮める。男性客がビールを求めているかコーヒーが欲しいかは、疲れ具合を想像して分かる。親しみ深い山形弁で地元名物の弁当を販売するともいう

だれでもできるように思いがちな仕事にも、その人しかできな工夫や努力を重ねると、別の世界が広がってくる。その仕事の社会的認知度を高めることにもなる。あらゆる職業に言えることだろう

お盆の帰省シーズンは、日々の仕事を離れて気分転換するひとときだが、旅の土産話に、普段見ることのない交通機関や接客業など様々な仕事から何かを学ぶのもいい。