長距離フェリー各社でつくる「九州長距離フェリー協議会」(米田真一郎会長)は5日、主要6政党に対し、高速道路割引制度の問題点などに関する公開質問状を3日付で送付したと発表した。割引制度で経営への深刻な影響を受けており、総選挙を前に、各党の姿勢を見極めたいとの考え。質問は▽高速道路料金の値下げ・無料化が地球温暖化対策に逆行していないか▽自家用車から公共交通機関の利用転換を意味する「モーダルシフト」を強化するつもりがあるか、など4項目。
フェリー業界は、国が進めるモーダルシフトを投資面などで支えてきたという自負が強い。このため高速道路料金値下げ政策には不信感が大きい。また、高速道路料金値下げが継続されたり、民主党が掲げる高速道路原則無料化が導入されれば、「自助努力の限界を超えて経営危機を迎える」との強い危機感をもっている。
協議会によると、長距離フェリー(片道の航路距離300キロ以上)は全国に11航路あるが、うち8航路が九州発着。九州運輸局が先月末に発表した長距離フェリーの4~6月の輸送実績では、旅客数、車両数とも前年同期比22%減と大幅に落ち込んだ。
協議会は「各党の政策を把握すると同時にフェリー業界が果たしてきた役割を各党に正しく理解してもらいたい」と訴えている。【綿貫洋】
毎日新聞 2009年8月6日 西部朝刊