2009年8月14日3時3分
公共事業は官公需法で、中小企業に優先的に発注することが決められている。道路公団は官公需法の適用を受けたが、05年の民営化で道路各社は適用対象から外れ、より効率的に道路整備を進める方針に転換した。
道路3社への要請について、国交省の小沢敬市・建設流通政策審議官は「6月初旬に金子大臣の指示を受けた。地方建設業界の厳しい状況を考慮するという産業政策の一環だ」と説明。道路各社は全株式を国交省と財務省が所有しており、独立行政法人のような政府機関と民間会社との中間的な存在なので、法的な裏付けはなくても要請はできると判断したという。
これに対し、3社のある幹部は「選挙対策への政治利用で、民営化や入札改革の趣旨にも逆行している」と反発。しかし、各社とも結果的に要請に従っている。ある国交省幹部は、自民党国土交通部会や党三役級の意見も踏まえた要請と説明し、「与党の選挙対策であることは否定しない」と話す。
金子国交相は朝日新聞の取材に対し、「(高速会社には)民営化されても、地方経済に明かりを当てたいとの趣旨は理解してくださいとの意味でお願いした。中小企業への発注比率を上げる政府全体の緊急経済対策で、選挙対策でも何でもない」と説明した。(歌野清一郎、座小田英史)