西松建設がダミー団体を経由して、自民党の二階経済産業大臣の派閥のパーティー券を購入し、一部週刊誌で数千万円の闇献金があったのではないかという疑惑まで報じられた、いわゆる「二階ルート」で、東京地検はまたもや、やる気のないところをみせてくれました。
7月31日、西松建設の元社長、国澤幹雄被告の禁固1年4ヶ月、執行猶予3年の刑が確定したその日、東京地検の吉田正喜検事は、二階さんの秘書を再び不起訴としたのです。
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これまでの経過
おさらいしますと、4月30日、憲法学者の上脇博之さんら「政治資金オンブズマン」のメンバーが、パー券問題や600万円の違法献金(迂回献金)問題で、国澤被告とお金を受け取った側の二階派(政治団体「新しい波」)と会計責任者だった二階さんの腹心、泉信也被疑者(参院議員、元国家公安委員長)らを政治資金規正法違反で告発しました。
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西松建設の二階大臣側への違法献金を刑事告発!
これに対し、東京地検の木村匡良検事は6月1日、被疑者らを不起訴処分としました。
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東京地検特捜部からの処分通知書
これに対して、上脇さんらは東京第3検察審査会に異議を申し立て、同審査会は6月16日、国澤被告人につき、「起訴相当」、泉被疑者らについては「不起訴不当」の議決を行ないました。
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自民・二階氏窮地に? 検察審査会が「不起訴不当」
さらに、上脇さんらは6月17日、二階大臣の秘書も、政治資金規正法違反で告発しました。なぜなら、パーティー券を西松に持ち込んだのが二階さんの秘書だということが、検察側の「不起訴理由」の説明で明らかになったからです。
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西松建設にパーティ券を持ち込んだのは二階大臣秘書だった!
その後、東京地検の吉田正喜検事は6月26日、国澤被告を追起訴したものの、泉被疑者や二階派(政治団体「新しい波」)などについては、不起訴としました。さらに、木村検事が、今度は二階さんの秘書を担当し、同じ26日、この秘書を不起訴処分としました。
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東京地検特捜部からの2度目の処分通知書
それに対して、上脇さんが検察審議会に異議を申し立てました。そして7月21日に検察審査会は秘書について、「不起訴不当」の議決をしました。
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東京地検は疑惑多い「二階ルート」の捜査を尽くせ
これに対し、吉田検事が木村検事に代わって秘書を担当しましたが、わずか10日後の7月31日、吉田検事は二階さんの秘書を木村検事と同様に、まもやた「不起訴」としたのです。
二階事件の動き。木村→吉田→木村→吉田と検事が変更しているが、国澤受刑者の起訴以外は、検事の行動は「前任者」追認で何も変わっていない。
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木村・吉田両検事でかばいあいが「再捜査」の実態
お気づきのように、木村検事と吉田検事は交互に登場しています。まず最初は木村検事が二階サイドを不起訴とする。それを検察審が「不起訴不当」とすると、吉田検事が登場する。しかし、国澤被告だけ起訴したほかは不起訴処分とする。
追加で告発された二階さんの秘書については、木村検事が担当して不起訴処分とします。これは、泉被疑者らを不起訴とした吉田検事の決定を援護射撃するものです。そして、異議申し立て、検察審の「不起訴不当」議決が出たら、すかさず吉田検事が登場し、木村検事の決定を追認したのです。
なんということはない。木村検事と吉田検事が、お互いの「不起訴処分」を追認しあっているだけではないでしょうか? こんなことで東京地検はまじめに捜査していると言えるのでしょうか?
さらに言えば、パーティー券問題については処分は決まっているものの、600万円の違法献金については検察側から何の処分も出されていません。やる気があるのでしょうか? これでは、「ない」と断言せざるを得ないではありませんか。
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検察審査会制度を踏みにじる暴挙
検察審査会を構成する市民は「不起訴不当」議決の理由として「捜査が尽くされているとは到底言えないとの印象が強い」から「さらに踏み込んだ捜査が期待される」として「検察官の再考を求めたい」と記していました。
しかし、実際にはこのように、木村、吉田の両検事が互いに入れ替わりで相手の不起訴処分を追認し合っているだけです。検察審査会と検察審を構成する市民をバカにしきっているとしか言いようがありません。これでは、「検察審査会制度の事実上の否定に等しい。」と上脇さんが怒るのは当然です。
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2人の検事がお互いに「不起訴」処分を追認しているだけではないか!
東京地検特捜部は腐敗しきっている。国民をなめるのも大概にせいよ、と申し上げたいです。