【ドラマ・企業攻防】民主政権でJAL解体? ANAとの合併説も再燃
2009/08/14 19:13更新
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日本航空(JAL)が正念場を迎えている。2009年4~6月期に過去最悪の990億円もの最終赤字を計上。当初の8月中から9月にずれ込む見通しとなった経営改善計画がその命運を握るが、切り札と位置づける年金支給のカットはOBの反発で合意は間に合わない。自民党に加え、国土交通省や財務省との太いパイプで銀行団から支援を引き出し何とか延命してきたが、民主党政権が誕生すれば、逆風はさらに強まる。銀行団や政府内でかねてからくすぶるJAL解体による全日本空輸(ANA)との統合説が再燃するのは必至だ。
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記事本文の続き ■新社名が問題?
「JALとANAが統合した場合、社名が問題になる。『JANA』(じゃーな)だと、別れのあいさつみたいで縁起が悪い。『ANAL』(アナル)は、絶対にダメだ」
航空業界では、昔からこんなジョークが語られ続けてきた。しかし、新しい社名を真剣に検討せざるを得なくなる可能性も否定できなくなってきた。
「大きな赤字だったね。せっかく資金調達した1000億円が一気に吹き飛ぶほどの額だから」
JAL再建を監視・指導する国交省の幹部は、7日に発表された同社の4~6月期決算に顔をしかめた。
世界同時不況と新型インフルのダブルパンチで旅客数が激減。売上高が前年同期から3割以上も減り、最終赤字は四半期ベースで過去最悪となった。
日本政策投資銀行とみずほコーポレート、三菱東京UFJ、三井住友のメガバンク3行は6月に、回収不能となった場合の政府保証を条件に、上期の資金繰りに必要な1000億円の融資を決めたばかり。その資金が、わずか3カ月で消えたことになる。
JALは社債の償還や長期借入金の返済、設備投資などのため今年度中にさらに1000億円の融資が必要で、「年末にかけて本当の正念場を迎える」(関係者)。融資の実現は、9月にずれ込む経営改善計画がカギとなる。
■高給もらったOB反発
計画では、すでに過去最大規模に達している路線の廃止・減便をさらに拡大させる方針。だが、金子一義国交相自らが「これがないと抜本的な再建計画はないと思っている」とクギを刺した企業年金の支給額カットの実施は、9月にずれ込んだとしても計画に盛り込めない見通しだ。
カットには、年金基金加盟者の現役約1万7000人とOB9000人から、それぞれ3分の2以上の同意を得る必要がある。しかし、具体的な手続きはいまだに始まっていない。
業界内でも「手厚い」とうらやまれる年金は、パイロットの高給と並び、JALの高コスト体質の象徴だ。だが、現役社員にとっては「心のよりどころ」(40代社員)で、OBには「長年の勤務の末に手にした果実」だけに、猛反発が起きている。
特にOBからは、かつて高給をもらい、経営悪化の要因になったにもかかわらず、「現役世代の経営失敗のツケを押し付けるな」との声が挙がる。一部OBがネット上で募っている反対署名は3分の1近くに達する勢いだ。
社内には「経営がこれ以上傾けば、結局年金の減額幅はさらに拡大する。そのことはOBも分かってくれるはず」(中堅社員)と期待する声もあるが、3分の2の同意を得られず、頓挫する可能性もある。
JALは2010年3月期決算の業績予想で、年金カットによる特別利益880億円を計上することを織り込んでいる。失敗すれば、最終赤字は1500億円規模に膨らみ、一気に経営危機を迎える。
■あきれる銀行団
相も変わらず、当事者意識が欠如したJALの体たらくに、銀行団のいらだちは募るばかりだ。
あるメガバンク幹部は「すでに多額の融資をつぎ込んだ日航の経営破綻は避けたいし、国交省ににらまれたくもない。だから融資はするが、なるべくリスクは減らしたい」と、距離を置きつつある。
JALは、路線縮小や年金カットのほか、早期退職の募集などのリストラ計画を掲げるが、その経営と財務内容をつぶさに見てきた銀行サイドは「すべて実行されたとしても、多少の延命策にしかならない」(幹部)と切り捨てる。
JALの経営陣に対する不信も根強い。現在の西松遙社長の財務担当役員時代を知るメガ銀行幹部は、「銀行としては検討もできないような、自分に都合のいいボールを平気で投げてくる。こっちは『あなた方が恥をかくので見なかったことにします』と突き返した」と当時を振り返る。
■航空2社体制を転換?
「日の丸を掲げた“ナショナル・フラッグ・キャリア”はつぶせない」
JALは、政府の“国策”をバックに、自民党や国交省、財務省と太いパイプを築き、これまで何度も銀行団からの支援を引き出してきた。
だが、その結果、「最後は国が助けてくれるという、親方日の丸の甘え意識」(銀行幹部)が蔓延し、経営再建の最大の障害になってきた。
業績が悪化するなか、労働組合が8つも乱立し、人件費削減などのリストラのたびに激しい労使紛争を繰り広げる一方で、経営陣も派閥抗争による内紛を繰り返してきたことが、如実に甘えの構図を証明している。
「国交省としても、さすがに今度ばかりは『航空大手2社体制』という航空行政の大転換が避けて通れないのではないか」
銀行団の間では、JAL解体によるANAとの統合を予想する声すら挙がり始めている。
■民主政権がとどめ
統合説の根拠の一つとなっているのが、民主党政権の誕生だ。
「せっせとパイプを築いてきた自民党が政権から陥落する一方で、脱官僚を掲げる民主党の政権奪取で、国交省と財務省の後ろ盾もなくななる。JALにとってはまさに悪夢だ」
銀行団の関係者は、こう解説する。
米国では、民主党のオバマ政権が誕生し、米ゼネラル・モーターズ(GM)に対し、破産処理という法的手続きで再建する道を選択した。日本でも、自民党時代の政官財の癒着の構図を否定する民主党が、その象徴として、JALへの公的支援を転換し、法的整理を選択する可能性は否定できない。
衆院選の投開票が行われる8月30日は、JALにとって、その命運を大きく左右する“運命の日”になるかもしれない。
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