16年度に7.7万人の医師不足―青森、三重、広島で深刻化か
今年度から始まった「医学部定員増」による効果が表れると見込まれる前年度の2016年度には、全国で約7.7万人の医師が不足する―。日本経済研究センター研究本部の松岡秀明研究員は、リポート「都道府県別医師不足の長期見通し―『医師増員』のネクストステージ―」でこう指摘している。リポートでは、医師不足の解消を図るには、医師数の増員だけでなく、看護師や助産師などコメディカルが医師の業務を代行できる仕組みづくりや、女性医師の現場復帰支援など、即効性のある対策を取る必要があると訴えている。
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リポートでは、医師が過不足なく充足している水準を、患者1000人当たりの医師数が都道府県別で一番多い京都府の「患者1000人当たり医師42人」と設定。都道府県ごとに今後の医師数、患者数を予測した上で、▽今年度に入学した学生が卒後臨床研修を終え、医学部定員増の効果が表れると見込まれる前年度の16年度▽団塊の世代が70歳代後半に達し、患者の増加が見込まれる25年▽患者数がピークを迎える30年▽人口減少、高齢化による患者数の増減の地域差が大きく表れる35年―について、都道府県ごとに医師不足の見通しを示した。
それによると、16年度には全国で約7.7万人の医師が不足し、医師数がもともと少ない青森、三重、広島では特に深刻化する恐れがあると指摘した。また25、30年には、三重、広島、香川、熊本で患者数の伸びが医師数の伸びを上回ると予測。これらから、医学部の定員増だけでは不足が改善しない可能性があると結論付けている。
その上でリポートでは、医学部定員増の効果が表れるよりも前の段階から、▽コメディカルが医師の業務を代行できる制度の整備▽女性医師の現場復帰支援▽開業医の緊急医療への参加―など、即効性のある対策を進めることなどが重要だと指摘した。
現在の医師不足対策は医学部の定員増など、主に医師数の増加に焦点が当てられているが、リポートでは「それだけでは足りない」としている。
更新:2009/08/14 20:41 キャリアブレイン
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