昔話EX/金田さんのエピソード編-その1-
久しぶりに昔話を書いてみようと思います。
きっと、僕の覚えている金田さんの思い出やエピソードを皆さんにお伝えするのが、幸いにして長い時間、金田さんの傍にいさせてもらえた僕の役目なんですよね。
J9シリーズは国際映画社の作品ですが、実際の制作は東映動画(現・東映アニメーション)を介して海外で作画されていました。
ちなみにアクロバンチも、最初の1クールは国際映画社で作られていましたが、2クール目からはやはりJ9シリーズと同じ制作体制に変更されています。
雑学ネタとしては、アクロバンチの羽根が2クール目から白から赤に変更になったのは、玩具メーカーのポプラからの要望だったと記憶しています。
で、ブライガーのOPは、東映動画から金田さんに依頼がありました。
制作担当は、僕もレザリオン~レディでとてもお世話になった蕪木さんだったと思います。
確か、キャラデザの小松原さんがスケジュール的にOPの作画まではできないとのことで、推薦されて金田さんに依頼があったという記憶があります。
作画監督込みでという依頼で作業は始まったのですが、原画が何カットか上がった時に、今度は野田さんに連絡があり…
キャラが似ていないから野田さんに修正してくれないかというのです。
さすがに金田さんもムッとされていた記憶があります。
でも野田さんは、金田君のままで大丈夫だからと、その依頼をお断りになりました。
野田さんと金田さんとの出会いは、ゲッターロボGDVD-BOXの解説書に掲載された座談会で詳しく描かれていますが…
最初は、えん魔くんの時に紹介されて、動画を金田さんと貞光さんに頼んでいるんですよね。
実はこの時すでに金田さんはもう他作品で原画を描いていたらしいんですが…
金田さんはなにも言わずに、野田さんからの動画の仕事を引き受けていたそうです。
あとで、実は金田さんが原画を描けることを知って、ゲッターロボからは原画を頼むようになったのだそうです。
実は、金田さんってそれ以前はロボットものが好きじゃなかったんですよね。
マジンガーZをやっていた友永さんをよくからかっていたそうです。
それで野田さんが、あまりロボットばかり描かせても…と気遣いされて、金田さんを別班の一休さんの仕事に回されたそうなのですが、ストレスからスランプになってしまい大変だったみたいです。
それを見かねて、またゲッター班に戻されたそうなのですが、ゲッターG~ガイキングに続く水を得た魚のようなメカ描写の進化は、明らかにアニメの歴史に刻まれる出来事だったのではと思います。
同時期にグレンダイザーやガ・キーンをやっていらっしゃった友永さんとのお二人によって、一気に日本のロボットアニメの作画技法は変革していったのではないかと…
でも普通ならね…金田さんのようなあんなに個性の強い作画は作画監督から嫌われるんです。
修正するのが大変ですから。
でも、野田さんの取った方法は、コロンブスの卵のような発想の方法でした。
金田君の原画を修正するのは大変だから、僕が半分金田君のタッチに歩み寄ったんだよと…
いや、それをできてしまう野田さんがすごいんですが…
金田さんがガイキングで初の作画監督を務めた際も実はキャラが問題になったそうですが、野田さんはそのまま押し通されたようです。
金田さんと野田さんと出会いは、本当に幸せな出会いだったのだと思います。
そういえば、僕もゴッドマーズの時に本橋さんから言われたことを思い出しました。
中途半端に似ている原画は、かえって修正しにくいんだよ。
越智君みたいに似ていないと、全部描き直せばいいからかえって楽なんだよねと…
ん…これは褒められたんじゃないよな(笑)
で、ブライガーのオープニングですが…
最初にあのOPアニメーションを見たときには正直戸惑いました。
なんかね…いつもの金田さんじゃない気がして。
明らかに、その後の金田アクションへの変革のきっかけになった作品なのではないでしょうか。
そして、その要因として…やはり山下君からの逆影響があったのではないかと僕は思っています。
金田さん本人に聞いたら否定するかもしれませんが…本当はどうだったのかなぁ…
ファンの方々それぞれに、好きな金田作品があると思いますが…
僕は、やはり最初に出会ったガイキングとザンボットですね。
カット割りまで覚えていますから。
でもカミングアウトすると…金田作画で僕が最初にツボにはまったのは、ロボットアクションではなく、ザンボット#5で包帯が床に転がるカットの横に立っている恵子のシナを作ったポーズだったことは、誰にも話していません(笑)
金田作画というとメカやエフェクトばかりが注目されがちですが、女の子の仕草やポーズ、ギャグキャラの弾けっぷりが僕は大好きです。
女の子といえば、金田作画としては異色なプティアンジェのOPでのペンダントの金田光。
あれは本人は、普通のクロスフィルター透過光にしたかったのに、その指示の仕方を知らなかったためにブラシ指定をしてしまったらしいという、意図ではなく天然だったみたいです。
いつもは、貞光さんが演出担当なので、その辺りはフォローしてくださっていたのが、アンジェは演出が別の方だったので、そのまま通してしまったと…
でも、あのオープニングで一番印象に残るのはあのカットなんだから、結果良かったんですよ…きっと(笑)
また、なにかエピソードを思い出したら書いてみたいと思います。
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