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半世紀ぶり再会、呼び水に 小田和正さん大船渡で熱唱

小田さん(左)の大船渡コンサートの橋渡し役となった千田さん=2008年12月、東京・渋谷区のスタジオ

 「50年たっても覚えていてくれた小田さんに感謝したい」。岩手県大船渡市の千田俊治さん(76)は感慨深げに、その歌声に耳を傾けた。

 ミュージシャン小田和正さん(61)のハイトーンの歌声が7月30日夜、地元の市民会館ホールに響き渡った。聴衆1100人が魅了された2時間余り。小田さん自ら「大船渡大作戦」と題したコンサートは大成功を収めた。

 ツアーの一環ではなく単独公演。実現のために動いたのが千田さんだった。
 千田さんは進学した都内の薬科大で小田さんの叔父奥本芳己さん(83)と知り合う。その縁で幼少の小田さんと出会った。大学卒業後は薬店を営むため大船渡に戻ったが、奥本さんとの付き合いはずっと続いた。年齢が離れた小田さんとはそれっきりだった。

 2005年8月。奥本さんが小田さんを連れ、千田さんを訪ねてきた。一関市の名勝・厳美渓を訪れ、大船渡市三陸町の民宿では酒も酌み交わした。

 かつての青年と少年は半世紀ぶりの再会だった。忘れ得ぬ東京の日々。千田さんは「三陸のきれいな海とか、景色とか、話は弾んだよ」と振り返る。

 きずなは生きた。千田さんは、08年11月に市民会館が完成したのを受け、暮れに小田さんを訪ねて記念コンサート開催を頼んだ。すると小田さんは、渋る事務所をよそに「行きますよ」と快諾してくれた。

 なぜ小田さんは大船渡に来てくれたのか。「自分を通して知った三陸に愛着を感じたのかな」と千田さん。潮風と小田メロディー。「似合っていたな」と感じている。(大船渡支局・山口達也)


2009年08月05日水曜日

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