2009年8月13日12時19分
オーストラリアの浜辺で、イスラム教徒用の水着「ブルキニ」を着用する女性=ロイター
【パリ=飯竹恒一】パリ郊外に住むイスラム教徒の女性(35)が、体の線などを隠すようデザインされた同教徒用の女性水着「ブルキニ」を着て地元の公営プールで泳ごうとしたところ、断られた。プール側は「衛生上、着込んだ格好で泳ぐのはだめ」と説明しているが、女性は「イスラム教徒への差別だ」と反発している。仏メディアが12日に伝えた。
ブルキニは、イスラム教徒の女性が顔まですっぽりと覆って着用する「ブルカ」とビキニを合わせた造語。パリジャン紙によると、頭髪を隠すベール、体を覆うコート、ズボンからなる。オーストラリア在住のレバノン人が07年に発案したという。
女性は「イスラム教の教えに沿い、体をあまりさらけ出さずに水泳を楽しめる」とブルキニの着用を決めたが、プールを管理する地元当局は「イスラム教とは無関係。ひざ上まである半ズボンの水着なども認められない」などとして拒否。女性は納得せず、市民団体の支援も受けて法的手段も辞さない構えだ。
政教分離を徹底するフランスでは、04年に公立学校でのイスラム教のスカーフ着用が禁止された。公共の場でのブルカなどの着用禁止を求める声も強まり、国会に調査委員会が発足したばかり。委員の間では、ブルキニを含むスポーツをめぐる問題も調査対象にすべきだとの声が出ているという。