衆院選注目選挙区 佐藤 ゆかり氏と雪辱期す民主党候補が激突する東京5区を取材しました。
シリーズ衆院選・注目選挙区。
東京5区では、岐阜1区から国替えした小泉チルドレンの佐藤 ゆかり氏(47)と、郵政解散で落選し、雪辱を期する民主党候補が激突します。
セミの声にさえ敏感に反応する候補者たちの戦いぶりを追いました。
駅前で切実に訴える小泉チルドレンの象徴的存在、自民党の佐藤 ゆかり氏。
佐藤氏は「本当にがけっぷちに立たされた、わが国日本の、向こう5年、10年後の見通しを定める大変大切な選挙である」と訴えていた。
一方、民主党は、前回の郵政選挙で落選した手塚仁雄氏(42)が立候補を表明した。
手塚氏は「明治維新から140年続いてきたこの国の官僚主導の政治、中央集権、こういったものを改めるきっかけをつくっていく」と訴えた。
東京5区は、知名度の高い佐藤氏の登場で一気に注目選挙区となった。
小泉チルドレンとして人気を得た自民党の佐藤氏の知名度は今も健在。
しかし、街頭演説では、目の前を素通りされる場面もある。
前回は、小泉改革の勢いに乗った佐藤氏だが、今回は逆風が吹いていると話している。
佐藤氏は「逆風の中で、さらに国替えというハンディキャップを負っているわけですから、かなり厳しいことは間違いない。小泉さん(元首相)の改革が批判されるべきなのではなくて、やはり、その改革が最後まで進んでいないことによる弊害というのが出てきていると思います」と述べた。
岐阜1区から国替えした佐藤氏は今回、地元に根を下ろした選挙戦を展開するため、初めて取り入れた秘密兵器は、愛用のマウンテンバイクだった。
佐藤氏は「(自転車は)さびちゃってるんですけどね。自転車が風雨にさらされて頑張ってきたように、わたし自身も共に自転車と頑張る」と述べた。
一方、先週末、民主党の手塚氏の決起集会が都内で行われた。
手塚氏は「本当に4年間長かったんです。本当に待たされました。死力を尽くして必ず国会に戻ります」と述べた。
前回、小泉元首相が仕掛けた郵政選挙で落選した手塚氏は雪辱に燃えていた。
手塚氏は「郵政民営化がどうかとか、それから要するに行き過ぎた保守主義、自由主義。これが間違いなく、そのひずみが出てきていることは間違いありませんから」と述べた。
落選後は、年間200回以上の街頭演説を4年間にわたり続けた。
街宣車は一切使わないという手塚氏は、たすきにのぼりを掲げる桃太郎スタイルで支持を訴えてきた。
手塚氏は「(桃太郎みたいですね?)おれはキジかサルかわからないよね」と述べた。
前回同様、真夏の選挙選だが、今回は民主党へのかつてない追い風を感じるという。
手塚氏は「セミの音がね、4年前は、自(ジー)、自(ジー)、自(ジー)、自(ジー)って聞こえたの。ことしは民(ミン)、民(ミン)、民(ミン)、民(ミン)って聞こえる」と述べた。
そんな2人が、8日に行われた公開討論会で直接顔を合わせた。
くしくも2人は隣同士に座った。
目は合わさないものの、互いを意識した厳しい発言だった。
佐藤氏は「民主党が掲げる結果平等社会、いわば社会主義政策でありますが、これが実現してしまうと、日本人のモラルが低下してしまう」と訴えた。
手塚氏は「自民党政治にくみすることなく、国民の皆さま方の選択で新しい政権をつくる」と訴えた。
一方、共産党の宮本 栄氏(47)は、「国民中心の新しい政治ができると、私、確信をしております。日本共産党の前進が鍵を握っていると思います」と独自の路線を訴えた。
このほかにも、東京5区からは諸派・木下 真氏(31)が立候補を予定している。
佐藤氏と手塚氏が最後に交わした握手はわずか数秒。
すでに戦いは始まっている。
(08/11 12:59)