(文章が不完全なので後ほど修正いたします)
有料配信7月20日号にて、ゴールドマンの決算を特集したときにゴールドマンが採用したと思われるHigh Frequency Tranding System が広く関与したためにトレーディングの高収益が出たと思う、と書きました。
その後FBIにゴールドマンのプログラマーが逮捕され、どうやらNYSEのシステムに不正侵入するためのコードを開発していた、などと伝えられるにつけ、やはり、という確信が我々の間にはひろがって行く訳です。24日にはニューヨークタイムズの記事も出ております。
未確認の情報もたくさんあるので、あまり決定的なことは言わずに来ましたが、間違った情報が随分流れるのており、一部ブロガーの方も必死でフォローされている様子ですので、また、CDSのときのように一度間違った認識が広まってしまうと大変なので、ここで不完全ながら一度整理をさせて頂きます。
結論からいいいますと、やっていること自体はシステム売買が導入される以前の場立ち制度や大証の立会い制度の中で普通におきていたことで、今でも頻繁におきていることではあるのです。
ただ、ここまで、システムを開発してまで、徹底してやったのは多分これが初めてでしょう。 その意味ではただでさえ脆弱な東証や、その他東証マザーズ、ジャスダックなどがこのシステムで狙われればひとたまりもない、というか赤子の手をひねるがごとくでしょう。
本件は現在進行形なので内部者もたくさんおられるはずです。、その意味では業界の皆さんの良心が問われる問題ですね。 是非ご意見などお待ちしております。
まず、HFT。
昨日慶應義塾大学の金子勝教授が日刊ゲンダイ紙上でこれを「高周波取引」と訳されていました。
明らかに間違いですが、慶応の先生が言ってしまうと、間違った訳が定着してしまいますので、これは今のうちにジャーナリストの方も徹底して無視してください。内容から言って、別に周波数が変わるとか、スーパーソニックとかいう意味は一切なく、その言葉のとおり、とてつもない頻度で売買を繰り返すこと、以外の何者でもありません。
従ってブロガーの皆様がお使いの「高頻度取引」、Frequency自体に高頻度という意味がありますので、意味を重視して「超高速売買取引」という訳語が妥当でしょうか。
また、システムという単語は付いていませんが、これは明らかに機会執行するものですので、HFT=高頻度取引システム、と訳す方が現実的です。
さて、その内容。 まず、基本から行きましょう。特に個人投資家の方注目です。
皆様の注文執行が本当のプロフェッショナルの人々、例えばゴールドマンのトレーディングデスクからどれくらい遅れるかご存知でしょうか。これはシステムの能力によるわけですが、恵比寿に引っ越すときにモルガンスタンレーが一番心配したのが、東証から離れることによるコンマ何秒かの執行時間遅れ、でした。
わずか0.01秒が致命傷になる可能性があるので、これは当時はきわめて神経質でした。 結果的にシステムを強化することでラグを解消できる、ということで引越しを決めた経緯があります。
で、先ほどの話・・・・恐らく20−30秒は間違いなく遅れるはずです。結局個人ですと証券会社の端末につないで成り行きで買いをいれ、それが執行されているか確実に確認をとるのにかなりの時間を要します。
しかし、ゴールドマンのトレーディングデスクから発注すると、恐らく1秒もかからず執行しているはずです。そのために膨大なシステム投資をしているわけですから、それはものすごい差があります。
そこで皆様の成り行き買い注文が東証の端末で執行待ちになっている状態がわかったらどうなると思いますか。実はこれは見えるのです。単位株数など細かい観察が必要なので、何画面も使って何人もで手分けをして見ることになります。
つまり、100円で寄り付いた銘柄があり個人の成行買いが100株づつ合計50件あったとします。
で、105円の5000株の売り物が入ってきたとしますね。当然5000株同士ですのですぐ売買が成立します。105円の売り物が消えれば成り行きで買いを入れている個人はどうみても自分の成行買いが執行されたんだ、と思いますね。
でも違います。ゴールドマン(これ、たとえですからね♪)が先回りして、瞬間的にその105円を5000株買ってしまい、110円で売りをぶつけてくると、個人の成り行き買いは110円で執行されます。
これでゴールドマンは瞬間的に5円抜いたことになりますね。 ずるい、って?
いえ、それが仕事ですからね。
その意味では証券会社のトレーダーに株式市場の見通しとか聞いている日本経済新聞はアホだろ、というのはその通りです。
だって、こういう鞘取りをするのに相場の方向性も経済のファンダメンタルズは関係ない。成行買いが向かってきたところに取りやすい売り板があるかどうか、だけをじっと観察しているだけの人々に相場の行方や経済動向などわかるはずがないのです。
ところが外資系のトレーディングフロアーとかの人にインタビューするばかものが後を絶たない。騙されるのは読者だけですな。 ということで、話を戻しますと、もし、自分に入った注文、成り行き買い、に対し今のようなことをやると「フロントランニング」といって法律違反です。
が、実は日系の中小証券会社ではこんなことは日常の風景なのですね。まあ、摘発は金融庁に任せましょう。
そして、この先回り取引、自分で一生懸命やっている分には法律に違反しません。
そこでこれをシステムで自動売買でやったらどうなりますかね??。 自分ひとりあるいは10人で手分けしてこれをやってもカバーできる銘柄は実際にやっている人に聞いてみるとまあ、せいぜい50銘柄が限度だろう、だそうです。
しかし、これを機械にやらせれば・・・・自動的に成行買いを見つけてきてそれが執行される前に売り板をすべて買って成行買いにぶつける・・・無限大にできるでしょうね。
ということでこれがHFTのからくりです。
NYSEは東証のように板がすべては見えないのでこの売買執行待ち状態のものを何らかの形で見つけ出すシステムに相当なお金をかけたり、もしかすると逮捕されたプログラマーのようなスパイまがいのことをやった可能性があります。
そうなると、公表されている手口の中で、ゴールドマンがなんでこんな端数みたいな取引を繰り返すことができたのか、ということがすんなり理解できますね。
更に、同じようなものでちょっと違うのはフラッシュオーダーという制度。
これはあまり売買のないローカルな取引所が売買奨励の1つとしてゴールドマンなどの業者さんには0.03秒とか、0.1秒とかのサービスタイムを差し上げます・・・執行する前に売り買いの情報を差し上げます・・・
という話でさっきの話をこれは合法としてサービスするわけです。もちろん鞘を抜かせるためではなく、売買の透明性を上げ、流動性を高めるためのシステムなんですが、これは考えようによっては合法的に他の人の売り買いの注文がわかるわけ。
0.03秒だって?? そんな短い時間で何もできんだろ、とお思いですか?
システムの演算能力さえ高ければそんなもん、0.01秒が1時間にでも2時間にでも相当しますよね。
先ほどのやり方でちまちまやることになるのですが、確実に儲かりますね。
そもそも NYSEには今でもトレーディングフロアーに売買執行員、スペシャリストといわれる人がいます。システム取引になりましたから、彼らは元来いらないのですが、万が一システムが止まったときのため、と観光資源として残された・・・というのは冗談で、彼らはその流動性確保のためにおかれているのです。
彼らの権限は絶大で、決まった銘柄の売買を自由にすることができる。例えば成り行きの買い注文をもらってもいくらで何枚執行するかは彼らの自由裁量で決められるし、場合によっては自己売買まで認められる。
先ほどの例のような先回り買い、などは制度上はお手の物だ。彼ら経由の売買は大口取引が多く、実際NYSEの取引の50%は未だにこのスペシャリスト経由ではないか、というデータもあるくらいだ。(彼らはシステム売買に参加する権利ももちろんあり、実際にトレーディングフロアーから携帯電話でシステム売買させるケーるもあるようで、その実態は極めてわかり難い。肝心なのはそういう取引慣行が残っている、というそのことだ)
ということで、私の知りうる限りの話はこんな感じでしょうか。 まあ、これで個別取引に異様な数のしょぼい取引が積み重なること、にもかかわらず膨大なトレーディングボリュームができること、などなど、これまで理解不能と思われるようなことが理解できるわけですね。
厳密に言えば法律違反となるでしょうが、、先ほどのスペシャリストなどの取引慣行の問題もあり、解決は容易ではないでしょう。
既に場立ち制度がなくなってしまった日本なので一見グリーンに見えますが、注文の握りこみなど日常茶飯事なので、このHFTの前には無力でしょうね。
結局これを防ぐのはモラル、など、実にアナクロな人間的抑止力しかないと思いますけどね、しばらく話題にはなるでしょう。
**大幅な書き換えの可能性がありますのであしからず・・・・
そして、このようなシステムを止めるのが"モラル"しかないのだとしたら…
…何か絶望的な感じがします。
東証のオーダーレーテンシーが数秒単位でダークプールもない日本にはほとんどカンケーのない話です。
とっても、よ〜く理解できました。
頭の中に、間違った訳の語句が
インプットされる前に、
この記事を読むことが出来て良かったです☆
とっても感謝しています。
高頻度取引システムですね。
おやすみなさい。
今後は成り行き買いをしないと決めました。
芸能界より酷いその実情を。
とんでもない強欲ぶりに呆れるばかり。
迷惑メールフォルダも見ましたが、やはり来ておりません。
8月3日は来ております。
これ私だけですか?
ヘルプ見ても迷惑メールフォルダに入ってる可能性がある、としか書いてないんです。
何で大丈夫な時と来ない時があるんでしょうか。
再送してもらえるんでしょうか?
有料な以上、来ないのは困るんですが…。
これが続くなら解約するしかないんですけど!
ぐっちーさんのメルマガ自体は大好きなので、やめたくないんですけど、来ないのは頭きます!
ぐっちーさんが悪くないのはわかってます…。
ちなみに以前コメント欄でメルマガが届かない、というのが多かった時には届いてました。
…何でなんでしょうか。
読者の方でわかる方がいらっしゃるかもしれないので、こちらで書かせていただきました。
不適切だったら、申し訳ございません。
それにしても、「高周波取引」と訳しちゃった教授。意味が分かっていないわけで、これは恥ずかしいですね。
とりあえず流動性が向上すると上下の行き過ぎを出現させるから逆張る人には感謝されると思うし。
ただ昨年のようにシステム遅延が発生するほどの発注がなされるのは困るかな。。
絶対負けない後だしじゃんけんじゃないですか
公正さを重んじるアメリカ人なら許さないでしょうが
日本ではどうなるんでしょうかね・・・
指値だけにする。
『時よ、止まれ。お前は素晴しい』
フゥストの言葉はゴールドマンの台詞でもあったわけだ。
ただ、
悪魔に魂を渡す合図でもあったわけだ。
この頃映画や小説で、
数秒未来を見たり、数秒、時間を止める能力がある主人公がお盛んだが、
零コンマ一秒、時を止められる機械を造ったわけだ。
新しい時間泥棒だな・・
トレーダーや証券会社に市場動向やお勧め銘柄などを尋ねるマスコミなどに違和感は感じてました。彼らの指標や格付けなど、自分自身にとって不利な言動はする筈が無いのですからね。
HFT、まだ発覚してないだけで問題になりそうな件は世界中にごろごろしてそうですね。
出来高が大きい銘柄は殆どこのシステムの対象になっていると考えないといけませんね。
八百長なんだろうけど、罰する法律がないならば大手はどこでもやりだすだろうし・・・・・
一般トレーダーは、トレンド重視の手法しか対策はないと思います。
ついでに「NYSEに不正侵入」は間違ってます。ちゃんとニュースを読みましょう。いくらGSでもNYSEに不正侵入を企てるわけがないのはお分かりのはずですが?
かもしれません。加えて統計用語を知らなかったか、これはないか...
訳語はよく考えて欲しいものです。green house effect gasを
温室効果ガスと翻訳してしまったから、直接私たちには
関係ないという認識が一時広がっていました。ガスって
特別なものという使い方があったからです。かっこ悪い
けど、温室効果を招く気体とか温室効果気体とかにして
おけば、日常生活と結びついている認識、一人一人が
吐き出す二酸化炭素や水蒸気っていう当たり前の物質が
かかわり合うという流れになっていたかもしれません。
誤訳・望ましくない訳は早めにつぶしましょう。
その重賞?
きっちり、その調教師管理のお馬さんが勝ちましたとさ。
で、いったいどうしたって?
システムを使っているのではないですか?
ある一定の条件(金額設定等)を満たした指値
に対して買い上げて売るとか。
大きい証券会社なら自己売買部門でこのシステム
を使えば儲けられますもん。
設定なんてどうにでもなるし。
世界的な法律規制を望みます。
みずほのJCOM株大量誤発注事件で、証券端末が担保なしに非貸借銘柄でも無限空売りが可能なことが公になりましたが、こんなシステムで成り行き注文が処理されていたとは、知りませんでした。
逆指し値が、とんでもないチャートの先っぽで、約定するのは、個人にはよくあることですが、当然のことなのですね。
大変参考になりました。
あまり関係無いかもしれませんが…
一部の人間(馬主等)だけが、例えば先頭の馬が残り3ハロンまで馬券購入可能等というシステムが無いだけ、馬券購入システム関しては、競馬の方が公正と言えるのかもしれませんね…
注文を見ながら利鞘が抜けるなら、株価操作も不可能ではないとおもうのですが…
今まであまり問題にならなかったのが不思議なくらいなのですが… 何故なんでしょ?
売買の出来高が上がる分収益が上がる立場の方からすると、よほど出過ぎた真似をしなければ目を瞑るものなのかもしれませんね。
でも東証システムの処理サイクルを秒単位と仮定すれば,あとはオーダーをどの順序に処理するかにかかると思います.常識的にはオーダーが早かった順番に処理しますから,HFTって成立するんでしょうか?
買い手も,たとえ成り行きとはいえ上限値が示されてるので,その範囲内の売買成立は問題が無い気がします.また売買不成立になる時(実は105円が買い手の上限値だった時)は買占め側のリスクですしね.
ただし,並んだ順番ではなく意図的に処理順番を入れ替えられてしまっていたら,,,この時は明らかに東証システムが悪い.訴えてやる!(上島風に)
日計り取引は流動性にはなんら関係ないし、
そもそも流動性の高い銘柄にしか入らない。
この話だと
その間に人が注文を操作することになってますが
そんなこと可能なのでしょうか?
たぶん私の理解不足だと思いますが
成行の注文だけのことでしょうか?
ところが指値注文は避けられないみたいで、それ以降よほどでない限り指値で板にぶつけている。もっとも、間一髪割り込んできて順番を後回しにされることはよくある。
成り行きは一番遅いというのはわりと皆体感していると思う。そういうこと?
しごとでやってる人と趣味でやってる人の条件は同じでなければならない、というのをどーんと通す風潮がおきたらいいんじゃないか、とおもいます。社会通念とかね。
どっちみち、訳語が間違っていようが金子さんが言いたいのはそんなことじゃないだろうし、あんまりそういう人が好きじゃないというのは透けて見えますね。だめだと思います。金子勝が好きじゃない人は。率直に言って。
金子さんがどういう意見持っているかわかってて、感じてて、好きじゃないから、訳語が違うといえばいいだけなのに無視とか言う言葉使うんだと思いますよ。
トレーダーなんかで稼いでいる人間はろくでなしだ、でいいじゃないですか。
会社もね。